見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七三六

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 センチピーダーインフィニティー。
なんだそれは。
これか。
二つが一つになった、この形の事か。

「俯瞰カメラ、発射」

 オオムカデンダルがそう言いながらスイッチを押す。

 びっ、びっ、びっ、びっ

 インフィニティーの肩から何かが真上に打ち上げられる。
モニターに四つの映像が映った。
これは。

「あの打ち上げたヤツから見た映像だ。四つあるだろう?四方向から見ている」

 なんだと。
凄い事は判るが、なぜそんな事を。

「客観的に見る視点は有った方が良いだろ。自分の体でも無いんだ。真後ろや死角は反応しにくいからな」

 なるほど。
言われてみれば、至極当然だな。

「長期戦は辺り一帯壊滅してしまう。なるべく早く倒すぞ」

 オオムカデンダルが簡単に言った。
神話として語られる、伝説の邪神『プニーフタール』だぞ。
なるべく早く倒したいのは俺も同じだ。
だが倒したいなどと言う希望と、倒せるかどうかは別の話だ。
ましてや『なるべく早く』だなどと言えるのは、希望を通り越して願望でしか無い。

 そうだったら良いな、と言うのと同じレベルの話だ。

 ヴアアアアアァァァォムッ!

 プニーフタールがこちらを見ている。
自分に対して立ち塞がるインフィニティーを、本能的に敵だと見なしているのか。

 その見た目は表現に困る。
全身の色が定まらない。
全体的には銀色に見える。
まるで鏡面に仕上げた上等な鉄の盾のようだ。
だが、それが七色に光って見える。
直接光を放っている訳では無い。
だが角度によってなのか、微妙に緑や紫やオレンジの色が混ざって見えた。

 生物かどうかも怪しいが、そもそも邪神だからして常識の外に居るのだろう。 
モンスターであっても、こんなのは見た事が無かった。

「ふふん。さすがは邪神さま。常識に囚われない見事な存在感だ」

 オオムカデンダルが鼻歌まじりにそう言った。
喜んでいる。
大丈夫か、この男。
この世の終わりを具現化した存在なんだぞ。
それを目の前にして鼻歌とは、まともな神経では無い。

「オオムカデンダル。判っているな」

 オニヤンマイザーの声が入ってきた。
さすがの蜻蛉洲も心配になったらしい。

「わーかってるって。サンプルだろ?」

「判っているなら良い。お前はすぐ消滅させようとするからな」

 おい。
お前もなのか。
サンプルだと?
出来る訳無いだろ。
相手は邪神だぞ。
犬や猫じゃ無いんだぞ。

 俺は頭が痛くなってきた。
こんな事でミーアを助けられるのか。
心配になってくる。

「百足、判っていると思うが、それは俺が元の世界に戻る為の唯一の希望だ。くれぐれも、『絶対に』殺すなよ」

「判ってるってば!お前らもう少し俺を信用しろよ!」

「出来んな。無茶を言うな」

「ああ。出来ない」

 九条晃が話しに入ってきたが、結局蜻蛉洲も九条晃もオオムカデンダルの暴走を心配している。

 誰も倒せない心配などしていないのか。 

「どの道、倒せなかったら世界ごとみんな死ぬんだ。やらなければ当然死ぬんだし、倒せなかった時の心配などしても仕方があるまい」

 オオムカデンダルは、さも当然と宣った。
それはそうだが……

「さあ、来るぞ。踏ん張って行けよ!」

 オオムカデンダルがインフィニティーを前へと進ませる。
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