見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七二一

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 アヴーンッ!

 アスピドケロンが大口を開いて頭を振った。

「!?」

 あっ!と思った時には遅かった。 

 がごおんっ!

 アスピドケロンがガーディアンの先端に噛み付いた。
操縦席まで口の中だ。
全く前が見えない。

「喰う気か!」

 さすがに焦る。
いや、いくら何でも喰えやしまい。 
アスピドケロンの方が大きいとは言え、ガーディアンを丸呑みに出来る程ガーディアンだって小さくは無い。

 がりっ!かぎいんっ!

 金属音が鳴る。
かじっている。
丸呑みは出来ないから噛み砕こうとしているらしい。

 そう安心しても居られなさそうだな。

 ヴイイーン!

 ジャイアントアームをアスピドケロンの顔にぶつける。
そしてそのまま突き放した。

 アヴーンッ!

 今度はアスピドケロンが吼えた。

 ヴイイーン!

 それをジャイアントアームが押し放す。

 アスピドケロンは執拗にガーディアンに噛み付いた。

「この野郎、案外しつこい……ッナ!」

 俺は思い切りアスピドケロンの顔を押し返す。

 ききききききっ!

「なんだ!?」

 今度は聞き慣れない音がする。
次から次に休まる事が無い。

「きききーっ!」

 操縦席の真ん前に巨大な蟻の顔が現れる。

「うおあっ!?」

 俺は突然の事に驚いた。
蟻だ。
まだ残っていたのか。
見れば数十匹が下からガーディアンに登って来ている。

 これは外には出られないな。
オオムカデンダルたちは無事なのか。

「俺たちの心配をしている場合か。それよりガーディアンを壊すなよ。判ってるだろうな」

 心でも読めるのか。
思った瞬間にオオムカデンダルの声が聞こえてきた。
心配するだけ無駄だったようだ。
確かに、そんな事よりもこの現状をどうするかだ。

「レオさん。冷凍ガスを使っては如何でしょうか」

「冷凍ガス?」

「そうです。液体窒素を特殊なガスに加工した物です。温度が上がらず、超低温のまま遠くまで噴霧出来ます」

「よし、使おう」

 俺は素直に意見を取り入れた。
即決だ。

「これだな。フロストゴバーン!」

 俺はフロストゴバーンのスイッチを押した。

 ゴバアアーッ!

 冷却用の空気を取り込むダクトが大きく開かれると、そこから逆に突風が噴き出した。

 ききききききっ!
きききーっ!

 まず、まとめて数匹が吹き飛ぶ。 
吹き飛ばされずに踏ん張った蟻は見る間に霜に包まれていく。

 ぴしっ
ぴししっ、ぴきぴきぴき

 完全に芯まで凍った物から、次々と割れていった。

 アヴーンッ!

 アスピドケロンもこの冷気に気付いて嫌がる素振りを見せる。
噛み付いていた口を離すと、全力で離れようとする。

「おおっと、お前はこっちだ」

 俺は逃がすまいとバトルアンカーの鎖を少しずつ巻き取った。

 ぎり、ぎりぎりぎり

 巻き取る度に距離が縮む。 

「ははっ、上手いじゃないか。おかげでこっちも涼しくなったぜ」

 オオムカデンダルの声が聞こえる。
気が付くと、敵の数が激減している事に気が付く。
そんな馬鹿な。
十万から居たんだぞ。

「いつの話だよ。もうだいぶ減ったぞ」

 いや、待て。
そうは言っても早すぎる。

「この冷気でモンスターの動きも鈍っているからな。余計にやりやすくて助かるぜ。そっちもそろそろ終わらせろよ」

 オオムカデンダルの声から察するに、少しも苦戦していないな。 
なんだかアスピドケロンもやれるような気がしてきた。

 これ以上、てこずったら何を言われるか判った物じゃない。
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