見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七一九

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 余談だが、モンスターに対して最も効果のある攻撃方法は炎である。
モンスターに限らず普通の生物も、炎に焼かれて平気な物はあまり居ない。

 氷や水、雷、変わった所では風や大地のような魔法もあるが、それが特別な効果をもたらすのは一部のモンスターに対してだけである。

 基本的には炎が一番効果がある。
当然と言えば当然だが。
ネオジョルトは魔法は行使しない。
代わりに科学なる物を行使する。
科学とは何ぞやと言われても俺には難しくて説明出来ないが、方法論が違うだけで最終的に得られる結果は同じように思う。

 賢者サルバスの言う事と蜻蛉洲が言う事は、とても良く似ている。
魔法と言う言葉と科学と言う言葉を入れ替えても、だいたい意味は同じような事を言っているからだ。

 ミサイルなるこの飛行物体は目標に向かって自ら飛んで行き、炎と爆発を巻き起こす。
炎の魔法と爆発の魔法を同時に発現させているのと同じ事だ。

 あの火球の大きさを見れば、大魔導士クラスの爆発魔法と何ら遜色は無い。
こんな物を連続で発射し、辺り一面を灰塵に帰すなんて事は、その辺の魔法職には無理な芸当なのだ。

 そのミサイルも尽きた。
機銃もカラカラと音を発てるばかりでもう一発も出なかった。
弾切れだ。

「十万か……」

 俺は小さく呟いた。
それでも倒しきれない。
いや、十万と言う数が滅茶苦茶なのだ。
しかもそれはモンスター換算で十万だ。
もともとの耐久力も桁が違う。

 倒しきれない最大の理由はアスピドケロンだ。
アレが攻撃の大半を受け止めている。
その分、他のモンスターは元気だし、さすがに無傷とは言わないまでも、アスピドケロンもまだまだ弱ってなどいない。

「弾切れか?」

 オオムカデンダルの声がした。

「ああ」

「そうか。こっちももう無い。空っぽだ」

 そうだろうな。
さすがのネオジョルトもお手上げか。

「そんな訳だから、俺たちは今から本番に挑む」

 本番に挑む?

「令子もフィエステリアームもこれから暴れてくるからよ」

 突っ込む気か。
だったら俺も。

「いや、お前はそのままガーディアンに乗れ」

 オオムカデンダルが俺に命じた。

「何故だ。もう弾切れだと言った筈だ」

「無くても戦えるだろ。何の為のガーディアンだと思ってるんだ?」

 しかし。

「あのデッカい亀とやれるのはガーディアンだけだ。さすがにあの大きさを相手にするには、ガーディアンでも無ければ骨が折れる」

 それは確かにそうなんだが。

「それ以外はこっちが片付ける。亀は頼んだぜ」

 オオムカデンダルはそう言うと通信を切った。
メタルシェルから三人が飛び降りるのが見える。
あのモンスターの渦の中へ飛び込んで行くのか。
それだけでも尋常では無かった。

 弾は無いがやりようはある、か。
俺は操縦桿を握り直した。

「ガーディアン、全速前進」
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