見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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七一七

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「総力戦のつもりか。面白い」

 オオムカデンダルの声は楽しそうだ。

「攻撃目標、デッカい亀!」

 オオムカデンダルがそう言うと、メタルシェルはアスピドケロン目掛けて突っ込んでいく。

「ミサイル発射!」

 メタルシェルからミサイルが放たれる。
それが四つ、正面からアスピドケロンの顔面を捉えた。

 ドドオォーン!
ボカアァーン!

 爆発と黒煙が立ち込める。
しかし。

 ガウーンッ!
ガウーンッ!

 アスピドケロンが二度吼えて、煙の中からヌッと顔を突き出した。
亀って鳴くのか。

 メタルシェルがギリギリでかわして後ろへ抜けていく。
アスピドケロンが大き過ぎて、後ろへ離脱するのに距離が有り過ぎる。

「うおっ!?」

 オオムカデンダルが驚きの声を上げた。
どうした。

 アスピドケロンの甲羅から何かが飛び出している。
なんだあれ。

「何だよこれ」

 オオムカデンダルが珍しく慌てた。
巨大な魚が群れを成してメタルシェルにぶつかっている。
アスピドケロンが巨大過ぎて普通に見えるが、魚一匹が牛ほどの大きさだ。

 それがまるでイワシかニシンのように集団で空を泳ぎ、その塊がメタルシェルにぶつかっていってるのだ。

「夢でも見てんのか、俺……」

 あまりの光景に俺はしばし言葉を失う。

「へっ、さすがファンタジー。何でもアリだな」

「僕が出よう」

 オオムカデンダルが言った側から蜻蛉洲が立ち上がる。
すぐにメタルシェルの外へ蜻蛉洲が出て来た。

「変身」

 メタルシェルの屋根に立つと、すぐにオニヤンマイザーへと変身する。

 たっ

 屋根を蹴って飛び上がると、背中に羽が一瞬で生えた。
そのままビーンと羽音を発てて、メタルシェルから離れていく。

 離脱していくメタルシェルを追い掛けるように魚の群れが追従する。
それを更に後ろからオニヤンマイザーが追い掛けた。

「オニヤンマシンガン」

 オニヤンマイザーの肩口から銃口が突き出ると、そのまま弾丸を乱射する。

 ドパラタタタタタタ!

 数のある敵を蹴散らすには最適の武器だな。
おびただしい数の魚がボトボトと地面に落ちていく。

 大漁だな。
あれ食えるのか。
俺はそんな事を思いながらも、正面の敵を迎え撃った。

 アスピドケロンは目前まで迫っている。
鈍いくせに無駄にデカ過ぎて、進行速度はかなり速い。

 ガーディアンもかなりの大きさだが、アスピドケロンはそれよりも更に大きい。
まったく比較にならない大きさだ。

「これだけデカけりゃ、そりゃ強いだろうよ」

 俺は呟く。
大きいと言うだけで、それはすなわち強さだ。
それが何の変哲もないただの亀だとしても、この大きさはそれだけで最強の部類になる。

 アスピドケロンは速度を維持したまま突進してくる。
おそらく攻撃しているつもりも無いんだろう。
ただ移動しているだけなのかもしれない。

 しかし、これは脅威だ。

「ドリルミサイル!」

 俺は初めて乗るにもかかわらず、そのすべての機能を理解していた。
今更驚くべき事でも無いが、頭の中にその説明が入ってくるのだ。
これは管理人がデータを俺の中に送り込んでくるせいだ。

「ドリルミサイル、発射!」

 そしてこの声を認識して武器の制御が為され、スイッチが有効になる。

 カチッ!

 ドリルミサイルのスイッチを入れる。
ガーディアンの下部からキャタピラの間を抜けて、ミサイルが発射された。
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