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六八五
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俺も後に続いて乗り込む。
メタルシェルが静かに離陸する。
「拠点は教えるが、そこに居るかは保証できん。あれは気ままだからな。誰の言う事も聞かん」
ヴァルキリーは窓から外を眺めながら言った。
「人間がこのような物を持っているとはな。本当に飛んでいる」
ヴァルキリーにとっては空を飛ぶ事自体は珍しくも無いだろう。
人間がメタルシェルのような乗り物を持つ事に驚いていた。
「タレントはおそらく、もう必要数揃っている。プニーフタールはいつ甦ってもおかしくないだろうな」
そんなにギリギリか。
なんとしても阻止しなければ。
「あそこだ」
ヴァルキリーが窓から外を指差す。
かなり遠いな。
下を見るも、ここがどこだか判らない。
少なくともカッパー王国を超えて更に大陸の端まで来ている事は明らかだ。
陸地の果てに海が見える。
ずっーと川が続いてそれが海へと流れ込んでいた。
「この辺りは人が住んでいる気配も無いな」
「そんな事は無い。森の中にはいくつかの部落があって、七つの部族が住んでいる。お前たちに比べればほぼ文明らしき物は無いが」
ずいぶんと原始的な暮らしをしているのか。
ひょっとしたら人間だけでは無いのかもしれない。
エルフやドワーフの類いも、人間を避けて住んでいても不思議は無い。
メタルシェルを川の近くに降ろす。
森の中で比較的スペースのある場所はここしか無かった。
ここからは歩きと言う事になる。
「付いて来い」
ヴァルキリーが先を歩き出した。
しかし、こんな所に拠点を移されたら探し出すのは困難だ。
見つからない筈である。
森の中に巨大な岩があった。
何か岩肌に描いてあるが、これが何かは全く判らない。
「これはかつて、ここに神事の為の祭壇があった場所だ。それが印されている」
ヴァルキリーはそう言いながら岩を押した。
ズズズ……
ゆっくりと岩が横に滑る。
見た目によらず怪力だな。
その下に縦穴が現れる。
隠し通路の入り口か。
「そう言う事だ」
ヴァルキリーは階段を下りて中へと入って行く。
護衛の兵士も躊躇しながらも後へ続いた。
見上げた忠誠心だ。
俺はその後ろに続く。
「ライト」
ヴァルキリーがライトの魔法を使う。
光が発生し、岩肌を照らす。
十メートル程度は視界が確保された。
「私は暗闇でも見えるが、お前たちもこれで見えるだろう?」
「ああ、だが俺も暗闇でも見える。護衛にとっては助かるだろ」
「そうなのか。たいしたものだな」
ヴァルキリーは驚いたような、少しガッカリしたような声を出した。
どのみち護衛の兵士には必要な明かりなのだから、別に無駄では無いだろう。
結構深いな。
数分歩いたが、まだどこにも辿り着かない。
「ここは元々、神への生贄を幽閉する為に使っていたようだ。逃げ出さないように深く造ったのだろう」
確かに明かりもなければこの距離を無事に逃げ切るのは難しいだろうな。
「……見られているな」
ヴァルキリーが静かに言った。
「見られている?」
「ああ、見られている。おそらくバルログだろう。とっくに気付かれている。監視と言うより観察しているな」
観察。
つまり俺を知ろうとしている訳だ。
「ここまでで良い。お前たちまで巻き込まれる」
「ふふふ、そうはいかんと言っただろう?お前の戦いぶりを見たい。まあ、勝てるとは思わんが、死んだらお前の魂も連れて行ってやるぞ」
ヴァルキリーはそう言って笑った。
メタルシェルが静かに離陸する。
「拠点は教えるが、そこに居るかは保証できん。あれは気ままだからな。誰の言う事も聞かん」
ヴァルキリーは窓から外を眺めながら言った。
「人間がこのような物を持っているとはな。本当に飛んでいる」
ヴァルキリーにとっては空を飛ぶ事自体は珍しくも無いだろう。
人間がメタルシェルのような乗り物を持つ事に驚いていた。
「タレントはおそらく、もう必要数揃っている。プニーフタールはいつ甦ってもおかしくないだろうな」
そんなにギリギリか。
なんとしても阻止しなければ。
「あそこだ」
ヴァルキリーが窓から外を指差す。
かなり遠いな。
下を見るも、ここがどこだか判らない。
少なくともカッパー王国を超えて更に大陸の端まで来ている事は明らかだ。
陸地の果てに海が見える。
ずっーと川が続いてそれが海へと流れ込んでいた。
「この辺りは人が住んでいる気配も無いな」
「そんな事は無い。森の中にはいくつかの部落があって、七つの部族が住んでいる。お前たちに比べればほぼ文明らしき物は無いが」
ずいぶんと原始的な暮らしをしているのか。
ひょっとしたら人間だけでは無いのかもしれない。
エルフやドワーフの類いも、人間を避けて住んでいても不思議は無い。
メタルシェルを川の近くに降ろす。
森の中で比較的スペースのある場所はここしか無かった。
ここからは歩きと言う事になる。
「付いて来い」
ヴァルキリーが先を歩き出した。
しかし、こんな所に拠点を移されたら探し出すのは困難だ。
見つからない筈である。
森の中に巨大な岩があった。
何か岩肌に描いてあるが、これが何かは全く判らない。
「これはかつて、ここに神事の為の祭壇があった場所だ。それが印されている」
ヴァルキリーはそう言いながら岩を押した。
ズズズ……
ゆっくりと岩が横に滑る。
見た目によらず怪力だな。
その下に縦穴が現れる。
隠し通路の入り口か。
「そう言う事だ」
ヴァルキリーは階段を下りて中へと入って行く。
護衛の兵士も躊躇しながらも後へ続いた。
見上げた忠誠心だ。
俺はその後ろに続く。
「ライト」
ヴァルキリーがライトの魔法を使う。
光が発生し、岩肌を照らす。
十メートル程度は視界が確保された。
「私は暗闇でも見えるが、お前たちもこれで見えるだろう?」
「ああ、だが俺も暗闇でも見える。護衛にとっては助かるだろ」
「そうなのか。たいしたものだな」
ヴァルキリーは驚いたような、少しガッカリしたような声を出した。
どのみち護衛の兵士には必要な明かりなのだから、別に無駄では無いだろう。
結構深いな。
数分歩いたが、まだどこにも辿り着かない。
「ここは元々、神への生贄を幽閉する為に使っていたようだ。逃げ出さないように深く造ったのだろう」
確かに明かりもなければこの距離を無事に逃げ切るのは難しいだろうな。
「……見られているな」
ヴァルキリーが静かに言った。
「見られている?」
「ああ、見られている。おそらくバルログだろう。とっくに気付かれている。監視と言うより観察しているな」
観察。
つまり俺を知ろうとしている訳だ。
「ここまでで良い。お前たちまで巻き込まれる」
「ふふふ、そうはいかんと言っただろう?お前の戦いぶりを見たい。まあ、勝てるとは思わんが、死んだらお前の魂も連れて行ってやるぞ」
ヴァルキリーはそう言って笑った。
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