見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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六五五

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「本気で世界征服を考えているって事か」

「最初からずっとそう言っている」

 ガイは頭を抱えた。

「こんな世界がひっくり返るような話を、真面目な話として聞かなければならんとは……」

「それもこんな軽い雰囲気でね」

 ルガが笑いながら言う。
彼女はそこまでネオジョルトに対する嫌悪感を持っていないようだ。
個人差があるのか。

 メタルシェルがやがてアジトに着くと、俺たちは広間に向かった。

 ガチャ

 中に入る。
広間には蜻蛉洲も令子もフィエステリアームも全員が揃っていた。

「連れてきた」

「ご苦労」

 オオムカデンダルはそう言うと、立ち上がった。

「前置きが長いのは嫌いだ。早速本題に入ろう」

 ガイたち四人は固唾を飲んで成り行きを見守る。

「ネオジョルトの新しい仲間だ。九条晃」

 オオムカデンダルがそう言うと、扉の奥から晃が現れた。

「は!?」

 ガイが変な声を出した。

「仲間って……は!?」

 ガイがもう一度同じ反応をする。
相変わらずこちらの予想をショートカットしてくる。
つまり、俺たちの知らない所で既に話は着いていたと言う事か。

「おいおいおいおい、どう言う事だ。何でまだ一言も話し合って無えのに一味になってるんだよ!」

 ガイがオオムカデンダルに詰め寄る。
言っても無駄だと思うが。

「いやな、目が覚めたからその場で説得した訳よ。そしたらすぐ意気投合しちゃってな。で、こうなった訳だ」

「何が、こうなっただ!ちっとも判らん。はしょり過ぎだ!」

 同感だ。

「オオムカデンダルの言い方は誤解がある。別に意気投合した訳でも無いし、今でもコイツは嫌いだ」

「晃くん。そう言う言い方は俺も傷つくぞ」

 オオムカデンダルが晃に向かって言う。

「……簡単に言えば目標を新たにした。その為に共闘しようと言う事だ」

「だったら別に一味に加わらなくても良いじゃねえか」

 ガイの言い分はもっともだ。

「帝国にも戻れんのに根なし草じゃ困るだろ?ここに居れば衣食住は基より、様々なバックアップも受けられる。彰は現状、戦力維持の為のメンテナンスもろくに受けられていないからな」

 なるほど。
そう言う事か。

「ギブアンドテイクって事だ」

「そんな……」

 ガイが肩を落とす。

「別にそこまでショックを受ける事は無いだろう?」

 オオムカデンダルがガイに言う。

「別に良いじゃん。アタシはその方が良いけどな。ご飯も美味しいし!ケーキもあるし」

 ルガはそう言って椅子をクルクルと回転させた。
この前オオムカデンダルがやっていたのを見て真似しているのか。

「そうね……アタシも良いと思うわ」

 ディーレも賛成した。

「ガイ、晃がそうするなら良いじゃないか。あくまでも共闘だ。別に軍門に降るとは言っていない」

 バルバがガイを説得する。

「……ちっ。判ったよ。けど俺はお前らを仲間だとは思わねえからな」

「ふふ。それで結構。でも食事はここでしっかり摂れよ」

「なんだと」

「お前たちを洗脳するのに必要だろう?」

 オオムカデンダルが笑いながら言う。

「て、てめえ……!」

「はっはっはっはっ。冗談だ」

 どこまで冗談かは疑わしいな。
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