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五九七
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まあ、出発は明日だ。
今日はゆっくり休ませてもらおう。
「俺も着いて行けないか?」
カルタスが言った。
「お前が来るとトラゴスも着いて来るから駄目だ」
俺に言われてカルタスはトラゴスを見た。
「……トラゴス。しばらく留守番をしていてもらいたいんだが」
「いえ、着いて参ります」
トラゴスが食い気味に断った。
ほらな。
「じゃあアタシが……」
オレコが申し出た。
「いや、一人の方が都合が良い。いつでも連絡がつくようにしておいてくれ」
「……判ったわ」
さて、これで気兼ね無く潜入できる。
あのベクターシードはかなりヤバイ相手だ。
アイツだけにはなるべく出会わないようにしなければ。
変身された状態で会うのだけは絶対に避けたい。
たぶん変身した状態でないと、俺と同じく様々な能力を使えないと俺は見ている。
未変身時はあそこまでの戦闘力も無い。
絶対に勘づかれ無いようにしないと。
陰に徹して警護をするのは、本当はオレコの方が向いている。
たぶんオオムカデンダルは戦闘になると踏んでいるのだ。
だから俺にやれと言っている。
戦闘になれば、オレコでは荷が重い。
「俺は休むぞ。またな」
俺は二人にそう告げて自室にこもった。
とりあえず寝る。
明日は午前中には出発しよう。
そう考えながら、俺は眠りについた。
明朝。
俺は起きてすぐに格納庫へと向かった。
「やあ、おはよう」
フィエステリアームが俺を見付けて声を掛けた。
「ああ、おはよう」
「今から積み込むんだ」
「判った。やっておこう」
「?……僕もやるよ?」
フィエステリアームが不思議そうな顔をする。
「え?あ、いや。君は幹部なんだし……」
「そんなの知らない。やりたいからやる」
フィエステリアームが力強く言った。
彼は変わり者だが、この風潮はネオジョルトの風潮だ。
それぞれがやりたい事を、それぞれが勝手にしている。
上も下もあまり気にしない雰囲気。
不思議だが、居心地はそう悪くない。
最初の頃は妙な雰囲気に戸惑ったものだが。
だからと言って緊張感が無い訳じゃ無い。
この雰囲気の強弱が、ネオジョルトの特徴と言えるかもしれない。
それから俺は、フィエステリアームと二人で次々に物資を詰め込んだ。
巨大な冷蔵庫なる鉄の箱に、約千人分のケーキと珈琲を満載した。
たぶん、これだけあれば足りるだろう。
「毎日、同じだけ送るからね」
フィエステリアームが無表情でそう言った。
なのに何故だろう。
気のせいか少し楽しそうに見える。
少しは彼の感情を読み取れるようになったのか。
「ああ判った。じゃあ出発しよう」
俺はメタルシェルに乗り込むと、フィエステリアームと冷蔵庫を乗せて、そのまま城に向けて発進した。
どうなる事か。
俺は不安を感じつつも、気を引き締めた。
今日はゆっくり休ませてもらおう。
「俺も着いて行けないか?」
カルタスが言った。
「お前が来るとトラゴスも着いて来るから駄目だ」
俺に言われてカルタスはトラゴスを見た。
「……トラゴス。しばらく留守番をしていてもらいたいんだが」
「いえ、着いて参ります」
トラゴスが食い気味に断った。
ほらな。
「じゃあアタシが……」
オレコが申し出た。
「いや、一人の方が都合が良い。いつでも連絡がつくようにしておいてくれ」
「……判ったわ」
さて、これで気兼ね無く潜入できる。
あのベクターシードはかなりヤバイ相手だ。
アイツだけにはなるべく出会わないようにしなければ。
変身された状態で会うのだけは絶対に避けたい。
たぶん変身した状態でないと、俺と同じく様々な能力を使えないと俺は見ている。
未変身時はあそこまでの戦闘力も無い。
絶対に勘づかれ無いようにしないと。
陰に徹して警護をするのは、本当はオレコの方が向いている。
たぶんオオムカデンダルは戦闘になると踏んでいるのだ。
だから俺にやれと言っている。
戦闘になれば、オレコでは荷が重い。
「俺は休むぞ。またな」
俺は二人にそう告げて自室にこもった。
とりあえず寝る。
明日は午前中には出発しよう。
そう考えながら、俺は眠りについた。
明朝。
俺は起きてすぐに格納庫へと向かった。
「やあ、おはよう」
フィエステリアームが俺を見付けて声を掛けた。
「ああ、おはよう」
「今から積み込むんだ」
「判った。やっておこう」
「?……僕もやるよ?」
フィエステリアームが不思議そうな顔をする。
「え?あ、いや。君は幹部なんだし……」
「そんなの知らない。やりたいからやる」
フィエステリアームが力強く言った。
彼は変わり者だが、この風潮はネオジョルトの風潮だ。
それぞれがやりたい事を、それぞれが勝手にしている。
上も下もあまり気にしない雰囲気。
不思議だが、居心地はそう悪くない。
最初の頃は妙な雰囲気に戸惑ったものだが。
だからと言って緊張感が無い訳じゃ無い。
この雰囲気の強弱が、ネオジョルトの特徴と言えるかもしれない。
それから俺は、フィエステリアームと二人で次々に物資を詰め込んだ。
巨大な冷蔵庫なる鉄の箱に、約千人分のケーキと珈琲を満載した。
たぶん、これだけあれば足りるだろう。
「毎日、同じだけ送るからね」
フィエステリアームが無表情でそう言った。
なのに何故だろう。
気のせいか少し楽しそうに見える。
少しは彼の感情を読み取れるようになったのか。
「ああ判った。じゃあ出発しよう」
俺はメタルシェルに乗り込むと、フィエステリアームと冷蔵庫を乗せて、そのまま城に向けて発進した。
どうなる事か。
俺は不安を感じつつも、気を引き締めた。
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