見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五三九

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 ピシャアアアンッ!
ドオオオォンッ!
ゴロゴロゴロゴロ……ッ

 目映い閃光を伴って落雷が起きた。
またか、今度は何だ。
俺はもう驚かなくなっていた。

「……誰だいアンタ」

 オオムカデンダルが言った。
目の前に女が居て、その背後に何者かが立っていた。
今のはコイツの仕業か。

「そう簡単に誘われては困る。彼女は大事な家族なのでな」

 何者かはそう言って、背後から女の肩を抱いた。
コイツもプニーフタール復活の一味か。

「そう拗ねるなよ。何ならアンタも招待するぜ」

 オオムカデンダルが肩をすくめた。

「ふん。ふざけた男だ」

「別にふざけているつもりは無いんだがな」

 男の言葉にオオムカデンダルは、心外だと言う風に首を振った。

「……で、来るのかい?来ないのかい?」

「ふふふ。悪いが遠慮させてもらおう。今はまだリスクが大きすぎる」

「……そうか。じゃあせめて、その娘は置いて行ってくれよ。まだおしゃべりが済んでいないんだ」

「ふっ、駄目だな。うちは門限が厳しいのだ」

「チッ……過保護なクソ親父め」

 オオムカデンダルは舌打ちすると、一歩前に出た。
やる気か。

「おっと、動くなよ。お前の実力は認めるが、そう簡単に殺られるつもりも無い」

 男はそう言うと女を更に強く抱き寄せた。
何なんだいったい。

「……ハッタリだったら死ぬ事になるぞ」

「それは良かった。ハッタリじゃなくて」

 男はそう言って女と共に後ろへ下がる。
オオムカデンダルは後を追うように一歩ずつ前に出る。

「残念だが、今この場ではお前を殺れそうも無い。実に口惜しい。だが、代わりにニーズヘッグは我らが頂く。まあ、これで引き分けだと思ってくれたまえ」

「待てよ。勝手に結論付けるな」

 オオムカデンダルが更に前に出る。

「そこまでだと言っただろ」

 男は女の首に剣を当てた。
なんだと。

「……何のつもりだ」

「見ての通り人質さ。こんな真似、本当はしたくなかったんだがな」

「そうじゃねえ。仲間を人質にして何の意味があるのかと聞いている」

 オオムカデンダルが更に足を踏み出そうとした。

「あれ?ひょっとして、まだご存知無いのかね?」

「……何の事だ」

 俺にも何の事か判らない。
ただ、何故か剣を突き付けられている女の姿に胸が痛んだ。

「さあ、皆さんにお顔を見てもらいなさい」

 男はそう言うと、女のフードを剥がすように外した。

「!?」

 俺は口から心臓が飛び出しそうになった。
嘘だ……

「……知らんな。誰だその女は」

 オオムカデンダルはアゴに手を当てて、本気で首をひねった。
オオムカデンダルは知る筈も無い。

「ミ、ミーア……」

 俺の妹だ。
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