見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五二五

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 ドパラタタタタタタタタタタタタッ!

 センチピーダーがガトリング砲を撃ちながら、ニーズヘッグに突撃する。
正気か。

 ニーズヘッグに対して斜めに接近する。
ニーズヘッグは巨体をくねらせてセンチピーダーに相対した。
波打つような胴体の動きが、ムチのようにセンチピーダーに迫る。
オオムカデンダルはそれを紙一重で交わしながらガトリング砲を撃ち続けた。

 くそ、生きた心地がしない。
どこまで接近するんだ。

「レオ!ミサイルだ!有りったけ叩き込め!」

 オオムカデンダルが叫ぶ。
俺は言われたようにミサイルを発射させた。

 シュバッシュバッシュバッシュバッシュバッッ!
ドパラタタタタタタタタタタタタッ!

 センチピーダーが肩から銃口から火を噴きながら爆走する。

「ぎいゃああああ!」

 ニーズヘッグが雄叫びをあげる。
効いているのか。

「おい、来るぞ!集中しろ!」

 来る?
何が来るんだ?

「ぎしゃあっ!」

 ニーズヘッグが酸を吐いた。
その直前にセンチピーダーは急角度で曲がると、弧を描きながらニーズヘッグに突進した。

「お、おい!」

「覚悟しろよ、この野郎!」

 俺が止める言葉など微塵も耳に入っていない。
迫り来る強酸をかわし、センチピーダーはそのままニーズヘッグの口の中へと飛び込んだ。

「ぎしゃあっ!ぎいゃああああ!」

 大音量でニーズヘッグの声がセンチピーダーに当たってくる。
当然だ。
ここはヤツの口の中、喉の入り口辺りだ。

「お、おい!食われたぞ!何のつもりだ!」

「中からなら頭を取れるだろうが!」

「何言ってる!口の中だぞ!飲まれたらどうする気だ!」

「飲まれないように、お前が踏ん張れよ!」

 言われなくてもやっている。
ニーズヘッグはセンチピーダーを飲み込もうと、舌の筋肉をうねらせて奥へと送り込もうとしている。
喉の筋肉も上下からセンチピーダーを押し込んでくる。
飲まれたら一巻の終わりだ。
龍の胃袋に入ったら、どんな事があっても出られはしまい。

 ピピッ

 視界に情報が映し出される。

 センチピードフレアー

 見た事無い名前だ。

「センチピードフレアー!」

 オオムカデンダルが叫びながら操縦桿を引いた。

 ごおっ!

 センチピーダーから轟音が発せられる。
今度は何だと言うのか。

 バインッ!バインッ!

 背中の排熱口が勢い良く開く。
そこから青白い光が漏れ出した。
相当な熱を外へと逃がしている。

 暑い。
急にセンチピーダー内の温度が上がったように感じる。
視界には五六度と表示された。
人間なら死ぬぞ。

 ごおおおおおぉぉぉぉぉっ!

 轟音は益々大きくなっていく。
これは、センチピーダー全体が燃えるように熱くなっているのか。
モニターを見る。
センチピーダーの装甲が、赤く光っているように見えた。
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