見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五二一

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「どんどんデカくなってる……」

 俺はニーズヘッグを見上げて呟いた。
今やニーズヘッグは城よりも大きい。
サイクロプスでも相手にはなるまい。
正直、センチピーダーでも相手になるかどうか。

「レオ、お前も来い」

 オオムカデンダルが俺を呼んだ。
俺も乗るのか、センチピーダーに。
一瞬ためらったが、否も応も無かった。
なるようにしかならん。
俺はオオムカデンダルに続いてセンチピーダーの中に乗り込んだ。

「複座は久しぶりに使うな」

 オオムカデンダルが言う。
俺がオオムカデンダルの後ろの席に座ると、センチピーダーの扉が閉まった。
どうなるんだ、これ。

「いいか、お前もこう言うのに馴れておけ。何事も経験だ」

 オオムカデンダルはそう言うと、センチピーダーを立ち上がらせる。

「今回のはなかなか手強そうだからな。二人分使おう」

 二人分?
なんの事だ。

 かちっ

 首の後ろに何かが当たった。
なんだ?
俺は首を触った。
何かくっついているぞ。
管のような物が首の後ろにくっついて、椅子の背もたれに繋がっているようだ。

「なんだ、この管は?」

「お前とセンチピーダーを接続したんだ。俺も繋がってるぞ。つまり今俺たちはセンチピーダーその物だ」

 センチピーダーその物だと。
言葉の意味は良く判らなかったが、何となくヤバイ気がしてきた。

「神経系も繋がっている。それからエネルギー関連も繋がっている。センチピーダーは強奪されたとしても、俺たち以外には扱えん。繋がれないからな」

 神経系が繋がっている?
それは二人分も必要なのか?
それにエネルギー関連とは。

「忙しいから説明は後だ。あとで管理人にでも聞いておけよ」

 オオムカデンダルはそう言うと、センチピーダーを走らせる。

「うおっ!」

 中に乗っている俺たちに、物凄い力が加わった。
振り回される。
体が固定されていなければ、この中でシェイクされている事だろう。

「まずは小手調べだ」

 オオムカデンダルは言うと同時にセンチピーダーの背中から銃を抜いた。

 ドパラタタタタタタタタタタタタッ!

 高密度特殊徹甲弾ガトリング砲。
確かそんな名前だった筈だ。
俺の眼にもそう表示されている。
これもセンチピーダーと接続されているからか。

「ぎぃいいいいい!」

 ニーズヘッグが雄叫びをあげた。
効いているのか。
それともただの威嚇か。

 銃口から発射される無数の光の粒が、雨のようにニーズヘッグへと降りかかる。

 ガインッ!ガインッ!ガインッ!ガインッ!
ブオオオォォォォ……ンッ

 低い唸り声のような音を発てて銃は弾を吐き続けている。
センチピーダーは撃ちながらニーズヘッグの側面へと走った。

 しかし頭部へのダメージだけは、やはり歯によって防がれている。
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