見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五〇二

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「うおああっ!?」

 俺は無数の爆発に巻き込まれた。

 どっ!ゴロゴロ……

 地面に倒れて転がる。
見た目よりも威力が大きい。
かなりのダメージだ。
視界の中に、警告の文字が点灯した。

 そんなダメージなのか。

 俺は完全に油断していた。
さっきの小競り合いの最中に、これを準備していたのか。
バーデンの姿が見えない訳である。

 どうする。
考える時間はあまり無い。
バーデンなら勝機を見逃したりはするまい。
すぐに第二射が来る。
俺はフラつきながら、何とか立ち上がった。

「だ、大丈夫!?」

 オレコの声が聞こえる。
あんまり大声出すなよ。
頭に響く。

「……ありゃあ、矢に爆発系の魔法を仕込んでるな。厄介だぞ」

 カルタスが言った。
普通、矢に魔法を仕込むのは一本づつが常識である。
普通にファイヤーボールやフレイムアローを撃った方が効率は良いのだ。
それをわざわざ矢に魔法を仕込むのは、魔法を使えない者でも高威力の攻撃が可能になる事と、普通に魔法を撃つよりも高威力の魔法を仕込めるからだ。

 標的に向かって魔法を放つと言うのは、意外と難しい。
物に魔法を込める方が簡単だ。
だから魔法矢を使うのである。

 しかし、とは言ってもこれだけの矢に魔法を仕込むのは並大抵の事では無い。
あらかじめ用意していたのか。
この状況を想定していたと?
いや、考えられない。

 だとすれば、今この短時間で用意した筈だ。
バーデンが自分でやったのか。
何千本と言う矢に一人で魔法を封入したとでも。

 信じられない。
魔法職の仕事を越えている。
これが勇者の実力なのか。
一本二本なら何の問題もない。
だが、さすがにこの数はかわせない。
数十本も食らえば、その威力も桁外れだ。

 下手を打った。
俺は後悔していた。
後の祭りだが。

「ハッハッハッハッ。どうした怪人。こんな物か、口ほどにもない」

 砦の上にバーデンが現れた。
今まで隠れて居やがったくせに、勝ちを確信して出てきたか。
ムカつく野郎だ。

 しかし、この状況をどうする。
やれる事はあまり無いように思えた。

『やれるだけの事をやれ。出し惜しみをするな』

 オオムカデンダルの言葉が頭をよぎる。
またどやされるな。
俺はため息をついた。

 やれるだけの事。
他に何かあるか。
俺は思い返してみた。

 サフィリナックスミラージュ

 一番最近開放された能力だ。
だがこれは、使用後に動けなくなってしまうほど消耗する。
そうしたら、結局結果は同じことだ。

 俺は砦の上を見た。
弓兵が次の矢をつがえて第二射の号令を待っているのが見える。

 他に選択の余地など無かった。
仕方がない。
出し惜しみはするな、だったな。
後の事など知った事か。

「後は野となれ山となれだ」

 俺は覚悟を決めた。
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