見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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「撃ち方止め!」

 俺は二人に攻撃を止めるように言った。
俺も敵にあえて背を向けると、民家の間へと走って身を隠す。

 退却していた敵が、俺が逃げたのを見て立ち止まる。

「逃げた?」

「逃げたぞ!」

「追え!追うんだ!」

 打って変わって兵士たちは、また反転すると城門から走り出してきた。

「出てきたわよ」

「まだだ。もっと十分にひきつけろ」

 俺は民家の路地を曲がり、裏道を反対側へと走った。
走りながら、家と家の間から見える敵の位置を確認した。
隊列が伸びている。
しかも整然としていた最初と比べて、明らかに散らかっていた。
恐怖と怒りが彼らを駆り立てているのだ。

「よし!今だ!」

 俺は二人に攻撃再開を指示した。
それと同時に路地を曲がって、俺も再び大通りへと飛び出す。

「居たぞ!向こうだ!」

 誰かが叫んだ。
それと同時に兵士たちは急ブレーキで踏みとどまる。
それから方向を変えて、俺目掛けて走り寄ってきた。

 ひょおっ!ひょおっ!ひょおっ!

 ドォンッ!ドォンッ!

 オレコの矢とカルタスの砲撃が、再び敵の隊列を分断する。

「うおああ!」

「わあああっ!」

 砲撃を受けて数人の敵が吹き飛んだ。
それを避けて四方に逃げ出す兵士たちを、まるで蟻を一匹ずつ潰すように、オレコが的確に仕留めていく。

 俺は取り残された隊の先頭集団を、まとめてぶっ飛ばす。
そろそろ俺の動きに目が慣れてきたヤツが現れ始めた。
ジグザグに動き回っても、食らいついてくる。
さすがは厳しい訓練を積んだ帝国の正規兵だ。

「とお!」

 俺はジャンプすると空中で宙返りして、上から襲い掛かる。
動きに慣れさせない。
慣れてきた所で違うパターンを織り混ぜる。
思惑通り、敵は再び混乱に陥った。

 敵の数が再び減り始めた。
俺はわざと動きを鈍らせて、攻撃をかすらせた。
食らっても大したことの無い攻撃は、あえて受けたりもした。

「さすがにこの人数では体力が持つまい!疲れてきているぞ!押せ!押すんだ!」

 隊長が声をあげて指揮をする。
おおっ!と声をあげて兵士たちが押し寄せた。

 ここまで、十分に敵のヘイトを一身に受けている。
少し下がりながら防戦すると、敵は嵩にかかって押し寄せた。

「もう一発いくぞ?」

 カルタスの声がした。

「ああ、やってくれ」

 ドォンッ!ドォンッ!

 俺が返事をするとほぼ同時に、砲撃音が轟いた。

「うおああっ!」

 密集して固まっていた兵士たちが、砲撃をモロに食らって吹き飛んだ。
逃げ出す兵士は確実にオレコが矢で仕留める。

 もう、既に千人は倒している。
場所を気にせず暴れられれば、このくらいなら何と言う事は無かった。
オレコとカルタスの援護が、更に結果に拍車を掛けている。
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