見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四九六

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「具体的にはどうするんだ?」

 カルタスが俺の顔を見た。

「城の周りには堀がある。城から出てくる時には跳ね橋が降りて、列を作って出てくる。それ以外に城から出る術はない」

 俺は地面に指で図を描きながら説明する。

「跳ね橋から出ると民家が立ち並ぶ所まで、城を囲むように大通りがある。その先からが住民のエリアだ。お前たちはここで敵を攻撃して欲しい」

「城門から出てきた所を中距離攻撃で頭を押さえるのね」

オレコが言った。

「いや、頭ではなく隊の中頃を頼みたい。俺は下で近距離戦に着く。二人には主に隊に続く後続を叩いてもらう。この繰り返しだ」

「なるほど。少しずつ出てきた所を叩いて、また誘き出してって訳か」

「そうだ」

 カルタスの相づちに俺は答えた。

「全軍を相手にはしない。バーデンが出てくるまでしのげば良い」

「……出てこなかったら?」

 オレコが尋ねる。

「奇襲だと言ったろ?」

「……まさか」

「出てこないなら、こちらから押し入るまでた」

 オレコが絶句した。

「はっはっはっ。こりゃいいや。皇帝陛下の居城に押し入るとは。はっはっはっ」

「笑ってる場合!?押し込み強盗じゃ無いのよ!中には兵士や将軍もうじゃうじゃ居るのよ!」

 カルタスにオレコが噛みつく。

「城の中で軍隊に何が出来る。狭い所ほど少数精鋭の俺たちが有利だ。ヤツらとて場内に俺たちを入れる事は絶対に避けたい筈。だからプレッシャーを掛ければ、バーデンは必ず出てくる」

「そんなに上手くいくかしら……」

 オレコは懐疑的だ。
だがこの慎重さは必要な物だと思う。

「トラゴスはどうするんだ?」

 カルタスがトラゴスを見ながら言った。

「お前の側に置いておけ。今回は敵に直接接するのは俺だけだ。俺たちがピンチになれば、バフォメットは勝手に出てくる」

 そうは言ったがそれも俺の推測でしかない。
だがまあ、それはそれで良いと思っている。
トラゴスはあくまでも不確定要素だ。
ジョーカーだと思っておけば良い。

「そろそろ出発しよう。陽が暮れたらバーデンがいつ出てくるか判らない。今晩は朝になるまで張り込みだからな」

 俺たちは手早く準備を済ませると、夕方になる前に出発した。
城門が狙えるポイントも確保しなければならない。

「お前たちにこれを預けておく」

 俺はテクノセクトを一匹ずつ手渡した。

「これがあれば、離れていてもお互いに話が出来る。通信と言うんだそうだ」

「へえ……!便利なもんだな」

 カルタスは手渡されたテクノセクトを繁々と眺めた。
オレコには蝶型のテクノセクト、セクトパピヨンを。
カルタスにはバッタ型のテクノセクト、セクトホッパーを渡した。
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