見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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四六九

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「さすがは行動隊長。勘だけは鋭いな」

 オオムカデンダルはそう言いながら戻ってきた。
勘だけ、か。
何とでも言えよ。
アンタらに比べられたら、大抵のヤツはゴブリンだろうよ。

「どこの誰だか知らないが、そいつが必死に金を採掘してると思うと笑えてくるよなあ?」

 話の途中から既にオオムカデンダルは笑っていた。
なんだと言うのか。

 いや待てよ。
つまりオオムカデンダルたちは簡単に金を採掘出来る。
しかも地中には大量に金がある。
と言う事は、正規の金よりも大量に金を保有出来ると言う事か?
オリジナルを出し抜くつもりなのか?

「はっはっはっはっは!傑作だろう?出し抜くってのは少し違うが、まあ概ねそんな所だ」

 なんて奴らだ。
いや、なんてヤツだ。
性格悪すぎだろう。

「だが、少し違うとはどう言うことなんだ?」

 俺はオオムカデンダルの言い方に引っ掛かった。

「俺たちが金に困らないのはもう判っただろ?」

 ああ。
確かにそんな事をしていたとは知らなかったが、それじゃあ金に困る筈もない。
無限にあるに近いんだからな。

「金があるのは良いことだが、この金が……もっと言えば発行元が俺たちじゃないってのが気に食わない」

 またおかしな事を言い出したぞ。
何を言っているんだコイツは。

「だから世界中に金をばらまく」

 は?
おい、何を言っている。

「まあ、聞けよ。金はたくさん有るんだ。発行元より有るんだぞ?発行元ってのはな、金の流通量を制限してるんだよ」

 なぜそんな事を?

「ち……面倒だから説明はしない。後で管理人にでも聞いてくれ」

 久しぶりに言われてしまった。

「とにかくだ。発行元は金の価値、つまり価格だ。これを安定させたい訳だ。そこに俺たちが大量に金を流し込むと……?」

 金貨の価格が下がると言うのか?
本当に?

「まあ、実際に実験したヤツは居ない。出来る訳無いがね。だから試すんだよ。俺たちには出来るからな」

 どこまで本気で言っているのか。
俺は担がれてるのか?

「しかし、金貨は金貨だ。金で出来てる以上その価値は無くならないぞ。その前にこっちだって金が底を尽きる」

 俺は食い下がった。

「そこでジョルターの出番なんだよ」

 ここで?

「ジョルターも同時に流通させる。だがお前の言う通り、人々はこんなコイン見向きもしないだろう」

 そうだろう?

「だから、ジョルターを買い取る」

 は?
何を言っているんだ。
意味無いだろ。

「高値でジョルターを両替するんだよ。ジョルターを持ってくれば金貨と交換してやるんだ」

 判らん。
全く意味が判らん。
俺が馬鹿なのは判った。

「みんな金貨欲しさにジョルターを集め出す」

「!?」

 そうか!
俺は初めて意味が判った。
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