461 / 826
四六一
しおりを挟む
「全滅させるだあ……?」
憲兵隊長の顔が紅潮する。
「早く掛からんか貴様らあっ!帝国憲兵隊の恐ろしさを教えてやれえっ!」
憲兵隊長が叫ぶと同時に剣を抜く。
その切っ先がオニヤンマイザーを指した示した。
「おおおおおー!」
半ば開き直った隊員たちは、一気呵成にオニヤンマイザーへと向かって行った。
ガキン!
ギイン!
ガッ!
憲兵隊員の剣が雨あられとオニヤンマイザーを打ちのめす。
そう。
打ちのめしていた。
斬るでも無く、突くでも無い。
斬れないのだ。
オニヤンマイザーの硬い体表は、まるで鎧のようだった。
どんな鋭利な刀剣でも斬るのは無理に思われた。
それどころか傷を付ける事さえ可能かどうか。
巨大な戦斧かハンマーなら、ひょっとしたら可能性はあるかもしれない。
それでも、その装甲を破れるかと言う話では無い。
傷を付けられるかと言う話である。
「どうした。その程度か?まあやる前から判ってはいた事だが」
オニヤンマイザーはその攻撃の嵐の中を、悠々と歩いた。
全く、ただの少しもオニヤンマイザーの歩行速度は落ちない。
結局止められないのだ。
このままではオニヤンマイザーは、憲兵隊長をぶっ飛ばしてしまうだろう。
最悪殺しかねない。
いや、たぶん殺してしまう。
そうなれば、せっかく回避できた帝国との全面戦争が始まるのは確定だ。
その結果が、どちらが勝つ事になるとしても、帝国内は大混乱になるのは目に見えている。
この人たちも、子供も老人も、みんな被害を被るのは間違いないだろう。
その混乱に乗じて、他国が反旗を翻す可能性も十分にある。
いずれ通る道とは言え、それが今とは早すぎないか。
がしっ!
いつの間にかオニヤンマイザーは憲兵隊長の下へとたどり着いていた。
しっかりと隊長の脚を掴まえている。
「な、何をする!?」
憲兵隊長は慌てて振り払おうと、オニヤンマイザーを蹴った。
だが驚異の握力で掴まれた脚は、ちょっとやそっとでは自由に動かす事もままならない。
「く……っ!動かん!馬鹿力めっ!」
「君は少しばかり態度が大きいな。まずは庶民の高さまで降りて来い」
オニヤンマイザーはグイと脚を引っ張った。
「うおあ!」
なすすべも無く、憲兵隊長は簡単に馬から引きずり下ろされた。
これ以上無いと言う馬鹿力だった。
洗濯物を取りこむかの如く、憲兵隊長は片手で地面へと引きずり下ろされたのだ。
どさっ!
背中から地面へと落馬した隊長が、慌ててオニヤンマイザーを仰ぎ見た。
「き、貴様……!」
「ふむ。いささか低すぎだが、君はその高さからやり直す方が良いな」
オニヤンマイザーは隊長を見下ろしながら冷たくそう言った。
憲兵隊長の顔が紅潮する。
「早く掛からんか貴様らあっ!帝国憲兵隊の恐ろしさを教えてやれえっ!」
憲兵隊長が叫ぶと同時に剣を抜く。
その切っ先がオニヤンマイザーを指した示した。
「おおおおおー!」
半ば開き直った隊員たちは、一気呵成にオニヤンマイザーへと向かって行った。
ガキン!
ギイン!
ガッ!
憲兵隊員の剣が雨あられとオニヤンマイザーを打ちのめす。
そう。
打ちのめしていた。
斬るでも無く、突くでも無い。
斬れないのだ。
オニヤンマイザーの硬い体表は、まるで鎧のようだった。
どんな鋭利な刀剣でも斬るのは無理に思われた。
それどころか傷を付ける事さえ可能かどうか。
巨大な戦斧かハンマーなら、ひょっとしたら可能性はあるかもしれない。
それでも、その装甲を破れるかと言う話では無い。
傷を付けられるかと言う話である。
「どうした。その程度か?まあやる前から判ってはいた事だが」
オニヤンマイザーはその攻撃の嵐の中を、悠々と歩いた。
全く、ただの少しもオニヤンマイザーの歩行速度は落ちない。
結局止められないのだ。
このままではオニヤンマイザーは、憲兵隊長をぶっ飛ばしてしまうだろう。
最悪殺しかねない。
いや、たぶん殺してしまう。
そうなれば、せっかく回避できた帝国との全面戦争が始まるのは確定だ。
その結果が、どちらが勝つ事になるとしても、帝国内は大混乱になるのは目に見えている。
この人たちも、子供も老人も、みんな被害を被るのは間違いないだろう。
その混乱に乗じて、他国が反旗を翻す可能性も十分にある。
いずれ通る道とは言え、それが今とは早すぎないか。
がしっ!
いつの間にかオニヤンマイザーは憲兵隊長の下へとたどり着いていた。
しっかりと隊長の脚を掴まえている。
「な、何をする!?」
憲兵隊長は慌てて振り払おうと、オニヤンマイザーを蹴った。
だが驚異の握力で掴まれた脚は、ちょっとやそっとでは自由に動かす事もままならない。
「く……っ!動かん!馬鹿力めっ!」
「君は少しばかり態度が大きいな。まずは庶民の高さまで降りて来い」
オニヤンマイザーはグイと脚を引っ張った。
「うおあ!」
なすすべも無く、憲兵隊長は簡単に馬から引きずり下ろされた。
これ以上無いと言う馬鹿力だった。
洗濯物を取りこむかの如く、憲兵隊長は片手で地面へと引きずり下ろされたのだ。
どさっ!
背中から地面へと落馬した隊長が、慌ててオニヤンマイザーを仰ぎ見た。
「き、貴様……!」
「ふむ。いささか低すぎだが、君はその高さからやり直す方が良いな」
オニヤンマイザーは隊長を見下ろしながら冷たくそう言った。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
秘密結社ニヨル世界征服活動
uji-na
ファンタジー
【カムロキ】は偉大なる神州日本の復古を謳い、やがて全世界を手中に収めんと企む秘密組織である。
世界征服計画の第一段階として手始めに議事堂の占領と議員の洗脳を行うべく、潜伏中の地下から地表の市街地へと向かった秘密結社カムロキ。ところが、その先に待っていたものは奇妙な生物達が溢れる不思議な森だった。見知らぬ森に奇怪な生物の群れ、本来の目的地とは似ても似つかぬ場所。世界征服計画に早くも暗雲が立ち込める中、まずは情報を集めるためカムロキは調査に乗り出すのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる