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四二七
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オオムカデンダルの最大の敵。
いや、旧ジョルトの最大の敵と言う事か。
確か彼らはその敵たちとの最後の戦いに破れ、どういう訳かこの世界に来ていたと言っていた。
その相手もこの世界に来ていると言う事なのか?
そいつも何十年も何百年も生き続けるような存在なのか?
俺はめまいがした。
こんな化け物が他にも居て、しかもそいつは彼らを倒したのだと言う。
それが敵なのだとしたら。
恐ろしい。
この世界でまた彼らが本気でぶつかり合うような戦いになったら、この世界その物が滅びてしまうのではないか。
そうなったら、もう帝国だのプニーフタールだのとは言っていられない。
「これを誰から手に入れた?」
オオムカデンダルがキロの姉に尋ねた。
「知らねえよ。何人から奪った物の集積だと思ってんだ。しかもそんな石ころみたいな物。仲間の誰かが入れたんだよ。持ち主は判らねえ」
そりゃ、そうか。
ましてや物が『石ころみたいな物』ではな。
当然いつ頃かなんて覚えている筈もない。
つまり記憶も覗けないと言う事だ。
「うーむ……」
オオムカデンダルは再び腕組みをして目を閉じた。
相当考えているな。
それだけの事と言う事か。
「取り込み中悪いが、それは俺たちが考えても役には立てなさそうだからな。こっちはこっちで進めさせてもらう」
俺はオオムカデンダルにそう告げた。
その瞬間オオムカデンダルの両目が開いた。
「ふふふ。お前のそう言うところが実に良い」
なんだそれは、気持ちが悪いな。
「構わんぞ好きにやれ。最初からそう言っていた筈だ。無駄に俺たちに気を使わず、自分の事を地道に進めるお前だからこそ側に置いたのだ」
褒められたらしい。
あんまり嬉しくない事は黙っておこう。
「判った」
俺はそう言うと、広間を出た。
その後ろをオレコとカルタスが付いてくる。
「なんだ?」
俺は横目で見て言った。
「なんだとはなんだ。お前は俺たちのリーダーなんだから付いて行くに決まってるだろうが」
「いつから俺の部下になったんだ?」
「お前がネオジョルトの行動隊長だってんだからしょうがねえだろ。なあ?」
カルタスがオレコに同意を求めた。
「ま、そう言う事よね。アタシは嬉しいから良いんだけど」
そう言ったオレコの足取りは何故か軽い。
「で、これからどうするんだ?」
「銀猫の正体を探る」
「どうやって?」
俺は懐から虫を取り出した。
「この機械の虫が何かを見ていたならそれが判る」
「見ていなかったら?」
オレコが尋ねた。
「今度は直接聞きに行く」
「そんな簡単にしゃべるかよ」
コイツらは出来ないことばかり言うな。
俺は立ち止まると二人に振り返った。
「その時はしゃべらせる。それだけだ」
いや、旧ジョルトの最大の敵と言う事か。
確か彼らはその敵たちとの最後の戦いに破れ、どういう訳かこの世界に来ていたと言っていた。
その相手もこの世界に来ていると言う事なのか?
そいつも何十年も何百年も生き続けるような存在なのか?
俺はめまいがした。
こんな化け物が他にも居て、しかもそいつは彼らを倒したのだと言う。
それが敵なのだとしたら。
恐ろしい。
この世界でまた彼らが本気でぶつかり合うような戦いになったら、この世界その物が滅びてしまうのではないか。
そうなったら、もう帝国だのプニーフタールだのとは言っていられない。
「これを誰から手に入れた?」
オオムカデンダルがキロの姉に尋ねた。
「知らねえよ。何人から奪った物の集積だと思ってんだ。しかもそんな石ころみたいな物。仲間の誰かが入れたんだよ。持ち主は判らねえ」
そりゃ、そうか。
ましてや物が『石ころみたいな物』ではな。
当然いつ頃かなんて覚えている筈もない。
つまり記憶も覗けないと言う事だ。
「うーむ……」
オオムカデンダルは再び腕組みをして目を閉じた。
相当考えているな。
それだけの事と言う事か。
「取り込み中悪いが、それは俺たちが考えても役には立てなさそうだからな。こっちはこっちで進めさせてもらう」
俺はオオムカデンダルにそう告げた。
その瞬間オオムカデンダルの両目が開いた。
「ふふふ。お前のそう言うところが実に良い」
なんだそれは、気持ちが悪いな。
「構わんぞ好きにやれ。最初からそう言っていた筈だ。無駄に俺たちに気を使わず、自分の事を地道に進めるお前だからこそ側に置いたのだ」
褒められたらしい。
あんまり嬉しくない事は黙っておこう。
「判った」
俺はそう言うと、広間を出た。
その後ろをオレコとカルタスが付いてくる。
「なんだ?」
俺は横目で見て言った。
「なんだとはなんだ。お前は俺たちのリーダーなんだから付いて行くに決まってるだろうが」
「いつから俺の部下になったんだ?」
「お前がネオジョルトの行動隊長だってんだからしょうがねえだろ。なあ?」
カルタスがオレコに同意を求めた。
「ま、そう言う事よね。アタシは嬉しいから良いんだけど」
そう言ったオレコの足取りは何故か軽い。
「で、これからどうするんだ?」
「銀猫の正体を探る」
「どうやって?」
俺は懐から虫を取り出した。
「この機械の虫が何かを見ていたならそれが判る」
「見ていなかったら?」
オレコが尋ねた。
「今度は直接聞きに行く」
「そんな簡単にしゃべるかよ」
コイツらは出来ないことばかり言うな。
俺は立ち止まると二人に振り返った。
「その時はしゃべらせる。それだけだ」
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