見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三八八

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 食事を終えて俺たちは、三々五々に散った。
オレコは市街地から市場を中心に情報を集めに行った。
市場は情報を集める上で絶対に外せないらしい。

 カルタスは部屋で子供たちの子守りだ。
だが単純に子供の相手をしててくれと言う事ではない。
俺を狙って、キロたちを餌にしようと目論むヤツはきっと居る。
そいつらからキロたちを守るためのガードだ。
カルタスなら何人来ても後れを取る事は無いだろう。

 俺はオレコとは違うところを歩く。
情報を集めるのは得意では無いが、敵を釣る餌にはなるだろう。
なにせヤツらの狙いは俺なのだから。

 人通りの少ない方へと歩いていく。
この辺りは住宅地だが、もっと先へ行くと比較的貧困層が住む地域へと変わっていく。
それより先は地元の人間でも寄り付かない危険な区域だ。
いわゆるスラム地域と言うヤツだ。

 建物の雰囲気がそれを物語る。
段々と古く汚くなっていく。
落書き、建物の破損、損壊。
窓もなく、部屋の中は丸見えだ。
そこから目付きの悪いのがこちらを見ている。
それがあちこちの窓から俺に注がれるのを感じた。
明らかによそ者に対する警戒の視線だった。
今頃俺に対する情報が、この辺りを駆け巡っているのだろう。

「よお、おっさん。どこへ行くんだい?」

 背後から声がした。
おいでなすったか。
俺はゆっくりと振り返った。

三人の若者が立っている。
手には棒やナイフが握られていた。
俺の視界の中の光点が、既に囲まれている事を告げている。
まあ、とっくに気付いていたが。

「なんだ、何か用か」

「とぼけるなよ。ここがどう言う場所か知らない訳じゃないだろう?」

 この中ではリーダー風の男がそう言った。

「どう言う所なんだ?」

「へへっ、ここはお前みたいな何にも知らねえ可哀想な大人が、俺たちに身ぐるみ剥がされる場所なんだよ」

 男がそう言うと、仲間たちが笑う。

「そうか。なら俺には関係無いな」

「はあ?」

「俺は別に可哀想でも無いし、身ぐるみも剥がされないからな」

 俺はそう言うと、クルリときびすを返して歩き始めた。

「へっ、大人にしちゃ良い度胸だ」

 男はそう言うと、背後から仲間の二人が襲い掛かった。
俺はそれをヒラリとかわす。
全くの素人の攻撃だ。
ただ攻撃に迷いがない。
最初から殺すつもりでやっている事だけは判った。
これがスラム地域か。

「どうした。それじゃ身ぐるみは剥がせんな」

「……てめえ」

「セリフまで雑魚っぽいな。お前、センス無いよ。諦めて真面目に働け」

「やかましい!」

 男が棒を振り上げて走り出す。
だが、これは演技だ。
正面から棒を振り上げて攻撃が当たる筈もない。
本命はこれを合図に背後から忍び寄る仲間の攻撃だ。
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