見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三八七

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 そうして俺たちは何とか一人部屋で雑魚寝した。
大人三人、子供三人。
我ながらよく収まったなと思う。

 翌朝一番に目が覚めたのはキロだった。
俺が目を覚ました時には、子供三人は既に起きていた。
子供はどうしてこうも目が覚めるのが早いのだろうか。

 俺はそれからオレコとカルタスを起こした。
途中参加のくせに、何を熟睡していやがる。

「んああ……なんだよ早起きだな」

 カルタスがそう言って目をこすった。
元傭兵のくせに緊張感はどこへ捨ててきたんだ。

「だってお前もオレコも居るしよ、安全じゃねえか」

 きっとオレコも同じことを思っているぞ。
俺たちは目を覚ますと、朝飯を食いに外へ出た。
宿屋の主人には訳を話して超過分の代金を払い、更に新しい部屋を用意してもらった。

「二部屋?じゃあアタシとレオね」

 オレコがスープを飲みながら言った。

「てめえ俺にガキども三人押し付ける気か!」

 カルタスがパンを頬張って怒鳴る。
口に物を入れてしゃべるなよ。

「だって子守りはカルタスの仕事でしょ?」

 間に座ったキロが、申し訳なさそうに二人のやり取りを見ている。

「やめろ、そんな押し付けあったら子供たちが萎縮するだろ」

 俺は一言冷や水を浴びせた。
だが、申し訳なさそうにしているのはキロだけで、ピコとナノは楽しそうに二人の言い合いを笑って見ていた。

「キロたちは俺と一緒の部屋だ。カルタスとオレコは同じ部屋だ」

「ええっ!?そんな!」

「そうだぜ!なんで俺がオレコと寝なきゃならねえんだ!」

「子供と寝るのも嫌、オレコと一緒も嫌。じゃあ何か?お前は俺と一緒に寝たいと言うのか?」

 そう言って俺は、カルタスを汚いものでも見るような目で見た。

「あら、カルタスってそうだったの?」

 オレコが口許を押さえながら言う。

「ち、違う!お前もその仕草はよせ!」

 カルタスは俺とオレコを交互に見ながら否定した。
さて、カルタスをからかうのはこれくらいにしておこう。

「オレコ。お前はどうするんだ?」

「アタシは旅人のフリをしようかしら。あちこち観光しながら情報を集めてくるわね」

 簡単に言っているが、それで情報を持って帰ってくるつもりなのだからさすがだ。
俺が同じ事をしても、たいして情報など集められまい。

「普通にしているのが一番集まるもんなのよ」

 オレコが事も無げに言う。
そんなもんなのか。

「カルタスは?」

「カルタスは子守りよね?」

「ぐ……」

 カルタスに一言も発言の機会を与えないつもりか。
まあ、確かに子守りだから聞くまでも無かったかもしれないが。

「俺は街中をブラつこう。サルバスにもなるべく薄暗い路地をうろつけと言われている」

 そう言って俺はちぎったパンをスープに浸した。
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