見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三七四

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 一番下のピコがそう言うと、キロが慌てて頭を小突いた。

「そう言う事は言わないの!」

「ああ、また食わせてやる」

 俺がそう言うと、弟たちは飛び上がって喜んだ。

「ほんと!?」

「やったー!約束だよ?」

 そうしてキロはもう一度頭を下げると、女に連れられて家へと帰っていった。

「早速だが話を始めようか」

 いつの間にか銀猫が隣に立っている。

「ああ。どこで話す?」

「付いてこい」

 銀猫はそう言って先頭を歩きだした。
俺はそれに付いていく。

「おい、こんな人のたくさん居る店で話すのか?」

 俺は銀猫に問いかけた。
銀猫がたった今食事を終えた店の店内へと進んで行くからだ。

「知らなかったのか?ここは俺の店だ」

 なんてこった。
敵の店でのんびり飯を食っていたとは。
俺は思わず苦笑した。

 店の中は客で賑わっていた。
大盛況と言って良いだろう。
その中を隙間を縫って進んでいく。
奥の階段から二階へ上がった。
そこもまたたくさんの客で一杯だ。
本当に人気店なんだな。
裏社会の稼業も表では庶民の支持を得ているとは、俺はあまり世の中を知らなかったようだ。

「あそこだ」

 銀猫がそう言って顎で先を示した。
ドアがある。
個室か。

 ガチャ

 銀猫がドアを開けて先に中へと入っていく。
俺も続けて中へと足を踏み入れた。
中は豪華な造りになっている。
金持ち専用の特別席と言ったところか。

「まあ、座れ」

 銀猫は俺にそう促して、自らも椅子に腰を下ろした。

「で、どんな話をしようってんだ?」

 俺は部屋の四隅に控える女たちを見ながら言った。

「気にするな。コイツらは俺のボディーガード兼ウェイトレスだ。飲むか?」

 銀猫がどこからかグラスを取り出した。

「いや、いい。それよりも先を進めてくれ」

 銀猫は首をすくめてグラスを脇へとどかした。

「本題自体は既に話した通り、互いに干渉しないと言う約束を取り付けたい。俺たちは別に縄張りの拡大も目論んでいないし、住民とも比較的上手くやっている」

 俺は、ふうんと生返事をした。
正直そんな事には興味が無いからだが、それが逆に困ったなと言う感想をもたらしていた。

「……疑問なんだが、そんだけ真っ当に商売が出来るなら裏家業なんてしなくて良いんじゃ無いのか?」

「まあ、そう言うわけにもいかんのだ」

「なぜ?」

「……それは別に良いだろ。この話とは関係がない」

 なんだ。
言いたくないのか。
竹を割ったような性格だと思ったんだが。

「お前こそなぜこの街で目につくような真似を繰り返す。裏社会の情報網は早いし正確だ。お前が昨日暴れた情報は、おそらくどこの組織でも掴んでいる。今もずっとお前はマークされている筈だ」
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