見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三四七

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 今までだって、そう何度も歩いた事がある訳では無い。
だが、今日だけでもう三度目だ。
俺はオオムカデンダルのラボへ続く通路を進んだ。

「オオムカデンダル」

 オオムカデンダルのラボへ足を踏み入れながら、その名を呼んだ。
だが、辺りを見回すがオオムカデンダルの姿は無かった。
つい今さっきまで居たのだ。
いったいどこへ消えたのか。

 俺は部屋の中をキョロキョロしながら奥へ進んだ。
結構な広さだ。
訳の判らないな機械が、所狭しと立ち並んでいる。
そのせいで本来の広さは半分もない。

「肝心な時にどこへ行ったんだ……」

 俺はボヤキながらも更に奥へ進んだ。

「ん?」

 ずっと奥に巨大な扉を見つけた。
扉と言うにはあまりに異様だった。
数十センチはあろうかと言うような金属製の扉だ。
これが閉じられたら突破するのは不可能に思える。

「なんだこりゃ」

 こんな頑丈な扉で何を守ろうと言うのか。
俺は扉の向こうが気になった。

 扉に近付く。
外から様子を窺うが、通路が続いているようで、中がどうなっているのか見る事は出来ない。
俺は扉に手を掛けた。
中に入るしかない。

 ギイ……

ホンの少し扉を開くのにも相当な腕力が必要だ。
改造された肉体を持つ俺だからこそ、片手で開く事が出来た。
俺は片足を中へ踏み入れた。

「何してるんだ?」

 突然背後からオオムカデンダルの声がした。
俺は飛び上がるほど驚いたが、それを表に出さない事に成功した。

「なんだ、居たのか。探したのに居ないからどこへ行ったのかと思った」

 俺は平静を装い、普通に返事を返した。

「そうか。だが、ここは立ち入り禁止だ。勝手に入るのは今後はやめてくれ」

 オオムカデンダルはそう言って例の扉を軽々と片手で閉じた。
態度を観察していたが普通だ。
焦ったり、オドオドしたりと言った様子は見られない。

「ところで聞きたい事があるんだが」

 俺は本題を切り出した。

「なんだ?」

「彼女はどうなっている?」

 俺は単刀直入に尋ねた。
用件はそれだ。
ここを避けては通れない。

「ああ、例のお前のパーティーメンバーか?今のところは順調だな。生命の危機だけは脱したよ」

 オオムカデンダルは普段と変わらぬトーンでそう言いながら、扉に付いているハンドルを回した。

 ガチャン!

 扉から大きな音がした。
鍵が掛かったのだろうか。

「是非会いたいんだが」

 俺は更に本題を進めた。

「今会ったって何にもならんぞ。意識は戻ってないし、見た目もまだ酷いもんだ。あんまり女性が他人に見せたい姿ではないだろうな」

 オオムカデンダルが俺の方を向いた。

「身体的な欠損もある。お前が見たいからと言って、勝手に見て良いのか?」
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