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三四〇
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「ヴァンパイアと互角に?そんな馬鹿な」
カルタスが鼻で笑った。
無理もない。
その気持ちは良く判る。
「本当だ。実際にヴァンパイアと戦った事がある。オオムカデンダルはヴァンパイアを片手間に圧倒していたし、俺もこの体になってから戦ったが互角以上に戦えたよ。生身の時には全く歯が立たなかったのに」
俺は自嘲気味に言った。
「何で奴らはお前より強いんだ?お前も改造手術なるものを受けたのなら同じくらい強いんじゃないのか?」
カルタスが不満げに言う。
何故お前が不服なのか。
「詳しくは判らんが、何やら重要な素材が足りないらしい。それが力の源になる素材なんだと言っていた。俺には代用品が組み込まれているが、それでも彼らほどのモンスターパワーは出せないようだ」
カルタスは疑いの眼差しを俺に向けた。
「本当かあ?自分たちの地位を守る為にお前を格下に造ったんじゃないのか?」
カルタスが疑問を口にする。
「判らん。そうなのかもしれない。だが、彼らの部下になった時点で格下でも格上でも関係ない。俺は仲間の命を救いたいだけだからな。その条件の下に配下に加わったのだ。今は妹を救うと言う理由も加わったが」
俺はカルタスを見た。
「こうなったのも運命だと思っている。どうなるかは神のみぞ知る。俺は後悔もしていないし、これが運命なら、このまま流されてみるつもりだ」
カルタスが呆れた顔で俺を見た。
「……お前、実は楽しんでいるだろ?」
「楽しんでいるのかな……自分でも判らん。ただ、この先どうなるかは見てみたい」
そうなのだ。
ネオジョルトに何が出来るのか。
何をするのか。
世界がどう変わるか。
そして、俺はどうなっていくのか。
その全てに興味があった。
そう言う意味ではカルタスの言葉は当たっている。
俺は楽しんでいるのかもしれない。
「それはともかく」
オレコが口を挟む。
「どうするの?アタシ、何だかちょっとショックなんだけど」
そう言ってオレコがため息を吐く。
そりゃあそうだろう。
あんな大技を繰り出して、容易く破られたのだ。
自信も揺らぐ。
「……俺だって奥の手使って大したダメージ与えられなかったんだぞ?」
カルタスが張り合う。
その勝負は不毛だ。
「改造手術を回避する目的は達成したんだから、無駄ではないだろ」
俺が言うとカルタスは、納得がいかないと言うように愚痴をこぼす。
「でもよう……何年修行して身に付けたと思ってるんだ?いつかゴーレムにでも試してみたいと思っていた技だったのによ」
なるほど。
絶対の自信を持つ必殺技だったわけだ。
確かにそのくらいの価値がある技だった。
「お前がヴァンパイアに勝てるようになったらもう一度挑めよ」
俺は無責任に言った。
カルタスが鼻で笑った。
無理もない。
その気持ちは良く判る。
「本当だ。実際にヴァンパイアと戦った事がある。オオムカデンダルはヴァンパイアを片手間に圧倒していたし、俺もこの体になってから戦ったが互角以上に戦えたよ。生身の時には全く歯が立たなかったのに」
俺は自嘲気味に言った。
「何で奴らはお前より強いんだ?お前も改造手術なるものを受けたのなら同じくらい強いんじゃないのか?」
カルタスが不満げに言う。
何故お前が不服なのか。
「詳しくは判らんが、何やら重要な素材が足りないらしい。それが力の源になる素材なんだと言っていた。俺には代用品が組み込まれているが、それでも彼らほどのモンスターパワーは出せないようだ」
カルタスは疑いの眼差しを俺に向けた。
「本当かあ?自分たちの地位を守る為にお前を格下に造ったんじゃないのか?」
カルタスが疑問を口にする。
「判らん。そうなのかもしれない。だが、彼らの部下になった時点で格下でも格上でも関係ない。俺は仲間の命を救いたいだけだからな。その条件の下に配下に加わったのだ。今は妹を救うと言う理由も加わったが」
俺はカルタスを見た。
「こうなったのも運命だと思っている。どうなるかは神のみぞ知る。俺は後悔もしていないし、これが運命なら、このまま流されてみるつもりだ」
カルタスが呆れた顔で俺を見た。
「……お前、実は楽しんでいるだろ?」
「楽しんでいるのかな……自分でも判らん。ただ、この先どうなるかは見てみたい」
そうなのだ。
ネオジョルトに何が出来るのか。
何をするのか。
世界がどう変わるか。
そして、俺はどうなっていくのか。
その全てに興味があった。
そう言う意味ではカルタスの言葉は当たっている。
俺は楽しんでいるのかもしれない。
「それはともかく」
オレコが口を挟む。
「どうするの?アタシ、何だかちょっとショックなんだけど」
そう言ってオレコがため息を吐く。
そりゃあそうだろう。
あんな大技を繰り出して、容易く破られたのだ。
自信も揺らぐ。
「……俺だって奥の手使って大したダメージ与えられなかったんだぞ?」
カルタスが張り合う。
その勝負は不毛だ。
「改造手術を回避する目的は達成したんだから、無駄ではないだろ」
俺が言うとカルタスは、納得がいかないと言うように愚痴をこぼす。
「でもよう……何年修行して身に付けたと思ってるんだ?いつかゴーレムにでも試してみたいと思っていた技だったのによ」
なるほど。
絶対の自信を持つ必殺技だったわけだ。
確かにそのくらいの価値がある技だった。
「お前がヴァンパイアに勝てるようになったらもう一度挑めよ」
俺は無責任に言った。
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