見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三三七

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 どんっ!

 タックルを食らってウロコフネタマイトがホンの少し体を反らした。

「どっせい!」

 続けざまにカルタスの剣が、地をはうように下から振り上げられる。

 ガキインッ!

 甲高い音を発てて剣がウロコフネタマイトのアゴに炸裂した。

「どうだっ!」

 カルタスが会心の手応えに思わず声を荒らげた。

「生身にしてはなかなかね」

 ウロコフネタマイトはカルタスの問いに素直に答えた。
効いていない。
どうだ!に対して普通に返答できるなんて、効いている訳がない。

「うおおおああっ!」

 構わず雄叫びをあげてカルタスが剣を振るう。
狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにした。
怒濤の攻撃だ。
迫力も然ることながら、上昇した筋力とスタミナに任せて暴風の如く剣を振るう。

 ガインッ!
ガキインッ!
ガンッ!
ガンガンッ!
ガキインッ!

 いくらなんでも飛ばしすぎだと心配になる。
たぶんそれだけ打ちのめしても、ウロコフネタマイトには対してダメージは通らない筈だ。
彼女の硬さは俺やオオムカデンダルの比ではない。

 俺はそこで気がついた。
なるほど、そう言う事か。

「うおおお!」

 ガイイインッ!

 一際大きく振りかぶったグレートソードが、ウロコフネタマイトの脳天に直撃した。

「はあっ!はあっ!……今度こそどうだ!」

 しかし、ウロコフネタマイトは静かにたたずんで居るだけだった。

「……悪くはないわね。でも、これで大群相手に一方的に押し切るのは無理なんじゃないかしら」

 ウロコフネタマイトが静かな口調で言った。
普通は大群相手に単身挑んだりはしない。
そもそもの前提に無理がある。

「うちは規模としては小規模組織だから人員は少数精鋭だって、百足君が聞かないのよ」

 それは判るが、これだけ強ければ人数など気にする必要はあるまい。

「……で、どうなんだい?俺たちは合格か?」

 カルタスが尋ねた。

「……合格にしてあげたいけど、百足君基準では改造手術は免れないわね。ごめんなさいね」

 ウロコフネタマイトが申し訳なさそうに言った。
本当にそう思っているのかは、だいぶ怪しかったが。

「そうかい……じゃあやっぱりもう少し頑張るしかねえな」

 カルタスはそう言ったが、言葉とは裏腹に剣を構えて一歩退いた。
ウロコフネタマイトがそれを追って、初めて一歩前に出た。

 ここだ。

 突然、足下の土の中から鎖が現れた。

 ジャラジャラジャラジャラッ!
ガキイイインッ!

 突如地中から現れた鎖がウロコフネタマイトの足を絡めとる。

「!?」

 カルタスが狂ったようにウロコフネタマイトを滅多打ちにしていた時、オレコは気配を消してこれを仕込んでいたのだ。
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