見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三二八

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 俺は話しながら、三人を連れてオオムカデンダルのラボへと再び向かった。

「来たか」

 ラボへと入るとオオムカデンダルが俺たちを迎えた。

「もう判ったのか?」

「いや、まだだ。中身はこれからだが、覗く準備は出来たぞ」

 俺が尋ねるとオオムカデンダルは答えた。
こんな短時間にもう覗けるようになったとは。
俺は感心しながらオオムカデンダルの合図を待った。

「とりあえず、ここに映し出そう」

 オオムカデンダルはそう言って、さっきの板をアゴで指した。
その言葉のあと、すぐに映し出された。

「これが……」

「レイスの記憶なのか……」

 まるで魔法のように、板に実際の光景と同じものが描き出される。
凄い。
画が動いている。

「細かく分析してあとで整理するが、とりあえず今はここ最近の記憶を適当に見てみよう」

 オオムカデンダルはそう言いながら機械を操作した。

「たぶんこれは、ここ一週間程度の記憶だと思う」 

「画が動いてるなんて信じられない。しかも絵と言うよりも現実みたいに本物っぽいわ」

 オレコが感心と驚きが混じったように感想を漏らす。

「ああ、そうか。こう言うのはな、映像と言うんだ。像を映し出したものだ。今後こう言うのは良く使うからな。覚えておけ」

 映像。
絵を映し出したものか。
俺はその映像を見ながら言葉を繰り返した。
その映像の中では薄暗い闇の中で、何名かが集まり話をしている。

「プニーフタールの解放まであとどのくらいだ」

「ハッキリとは判らんが、おそらくあと人間が百名ちょっと。タレントは一人か二人と言ったところだろう」

「……まだ足りんのか」

「ここまで相当な人数を捧げた。あともう少しだ」

 薄暗がりの中で男たちは小声で話し合っている。

「こやつと吾輩で帝国に取り入る事に成功しておる。取り逃がしたあの赤子のタレントも、じきに我々の手中に落ちる。もう時間の問題よ」

 この声はレイスの声だ。

「私は村を探そう。しらみ潰しに当たればタレントの一人くらいはいずれ見つかるやもしれん」

 この声はキメラだ。
そこで映像は終わった。

「……どうした?もうおしまいなのか」

 俺はオオムカデンダルに言った。

「今はこのくらいにしておけ。まだ記憶の整理も出来ていない。後でインデックスでも作っておくが」

 オオムカデンダルが俺の顔を見た。

「情報は少しずつ噛み砕いて消化していく。一度にたくさん仕入れても見落としがあるからな」

 俺はもっと早く知りたいのだ。
今のでは妹の事は何も判らない。

「落ち着けよ。すぐに続きも見せてやるから」

 オオムカデンダルはそう言って俺をたしなめた。

「さて。まず、『タレント』とはなんだ?」

 オオムカデンダルが俺たちを見回した。
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