見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三一八

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「ひっ……!?」

 レイスが弱々しく声を漏らす。
人間をあれだけ恐れさせる存在のくせに、自らも恐怖を感じるのか。
俺は興味深くレイスを見守った。

「ま、待て!そうだ!ワイトは!?ワイトから先にすれば良い!」

 この期に及んで仲間を盾にするとは。
上級モンスターも彼らにかかってはこのザマか。

「お前の仲間だろ?仲間を売るのか」

 オオムカデンダルが鼻で笑う。

「仲間などではない!我らはプニフタールの前では等しく使徒なのだ!横の繋がりは無い!」

 俺はピクッと反応した。
その名前を聞きたかったのだ。

「ふーん。でもあっちはノビてるからなあ。話は聞き出せん。お前は元気だもんな」

 オオムカデンダルが意地悪な物の言い方をした。

「ふざけるな!脚を折られて元気な筈があるまい!この我が脚を折るなどと……!」

 そう言ってレイスは言葉を詰まらせた。
そりゃ、そうだ。
霊体のレイスが誕生して今まで、骨折などと言う目にあうとは思いもよらなかっただろう。

「おい」

 俺はレイスに語りかけた。

「俺の質問に嘘偽りなく、正直に答えたら助けてやる」

 レイスは俺の方をパッと見た。

「ほ、本当か!?」

「ああ、本当だとも」

 レイスがすがるように俺に話し始めた。

「なんだ?何が聞きたい!」

「お前たちがさらった女がいるだろう。どこへやった」

 俺は妹の所在を尋ねた。

「……そ、それは言えん」

「なんだと?」

「一つは我々に横の繋がりは無い。他の使徒がやったことは我にも判らぬ。二つ目にはそれがプニフタールの元へと渡ったなら、その所在は教えられない」

 この期に及んでプニフタールに忠誠を誓うか。

「……良いだろう。お前のプニフタールに対する忠誠心がどの程度の物なのか、今後のために知る必要があるな」

 俺はそう言うと、その場で回転して変身した。

「な、なにをする……!?」

「別に……お前の忠誠心を確認するだけだ」

 俺はサフィリナックスブレードを発動させた。
肘から指先まで赤く光が走る。
これで俺の手刀は全てを斬り裂く刃となった。

 しゅっ!

 俺が右腕を払うと、レイスの足の指が全て飛んだ。

「うぐっ……!」

 レイスがくぐもった声を漏らして痛みに堪えた。

「ふふ、指先ぐらいでは動じないか」

 俺はサディスティックに微笑んだ。
もちろん、マスクに隠されたその表情はレイスには伝わらない。

「おいおい。お前、意外と良い性格してるな」

 オオムカデンダルが驚きと好奇心をもって俺を見た。

「止めないでくれ」

「もちろん止めやしない。思う存分やってくれ。但し殺すなよ」

 オオムカデンダルはそう言うと何やら機械を取り出した。
あれは確かカメラと言う道具だ。
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