見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二九六

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 俺と一緒に居るからじゃないか?
心の中で俺は一人ごちた。
俺もオオムカデンダルに関わってから、こんなことばっかりだ。

「なんだコイツ……死神みてえなツラしやがって!」

 死神を見たことあるヤツなんていないが、そのイメージは普遍だ。
カルタスがそう言ったとしても何の不思議もなかった。

「ヒヒヒヒヒヒヒ……!」

 不気味な笑い声がこだまする。
本当にこだまのように反響した笑い声だ。

「この野郎……!これでも食らいやがれ!」

 カルタスが問答無用で斬りかかる。
お前は躊躇すると言う事を知らんのか。

 ズバあっ!

 死神野郎を袈裟斬りに一刀両断。
さすがに見事な太刀筋だ。

「どうだ!?」

 カルタスが髑髏の顔を見上げる。

「ヒヒヒヒヒヒヒ!」

「うおあっ!」

 死神野郎は少しも怯まず反撃してきた。
カルタスはそれを寸前でかわす。

「な、なんだコイツ!?」

 カルタスが少し距離を取る。
コイツの見た目からして、如何にもアンデット系だ。
魔法攻撃以外は効果が半減している可能性がある。
最悪の場合は無効化か。

オレコがカルタスの後ろからフォローに入る。
この二人もメルドルムとマザに引けを取らない息の合ったコンビだ。
特にオレコはカルタスの攻撃と相手の反応を見ながら、司令塔の役割を果たしていた。

 もう片方のウォーロックも長いローブを着込んだ姿で現れた。
だがこちらはまた少し姿が違う。
死神野郎よりももっと威厳のある雰囲気だ。
フードは被っていないものの、不思議な神官帽を被っている。
水晶を片手に持ち、如何にも神職と言う雰囲気を醸していた。
ただし、その顔は何故か見ることが出来ない。
隠している訳でも無いのにもかかわらず、顔は黒く影のように揺らいでいて顔が見えなかった。

「存在事態が不確かみたいね」

 オレコが言った。
それはつまりこの世ならざる者、と言う事か。

「てめえ!何者だ!」

 お前だって名乗ってないだろう。

「ヒヒヒ……人間ごときが知れる名ではないわ!」

  死神野郎が言った。

「……君はワイトだろう?」

 背後でマザが言った。
ワイト?

「元は精霊だったはずだ。それが力に魅せられて、力の信奉者になった。哀れな化け物さ」

「詳しいな」

 俺はマザに言った。

「帝国の将軍とも有ろう者は、このくらいの知識は常識だよ」

「そうなのか?」

 俺はマザの言葉を受けてメルドルムを見た。
メルドルムは視線をそらした。

「……そうでもないみたいだぞ」

「ま、苦手な者も居るって事で」

 そう言ってマザは肩をすくめた。

「で、そのワイトってのはどうやって倒すんだ?」

「魔法が一番有効だけど、ここには魔法職は居ないようだね。だったらいつものようにやるしかない」
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