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二八五
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「シッ!」
短く息を吐きながら素早く踏み込んでパンチ。
普通なら反応できない速度のステップインパンチだ。
ガッ!
これもやはり剣の柄を両手で振り下ろす格好で打ち落とされた。
くそっ、想像してたより強い。
さらに踏み込んで両手でワンツー。
その勢いで膝を叩き込む。
まだだ。
この程度ではこの男はしのいでしまう。
「シッ!シッ!シッ!シッ!」
連続でパンチとキックを繰り出す。
将軍は刀身で、柄で、時には肘で攻撃を跳ね返す。
脇腹を狙ったキックが、とっさに下げた肘で弾き返されるとは。
なかなかの芸当だ。
「ホントに人間か」
俺は思わず呟いた。
真面目に人間として修練を積んでいたら、こんな男には一生かかっても勝てないだろうなと思った。
これは生まれ持った才能があっての強さだ。
多少の嫉妬を覚える。
俺はオオムカデンダルにもらった強さでしかこの男と戦えないのか。
「神様、こんなの贔屓だろ……」
恨みがましく言ってみたが、そんな事を言っても始まらない。
貰い物だろうが何だろうが今は俺の力だ。
存分に見せつけてやる。
ザッ!
今度は低い姿勢で突っ込んだ。
地を這うような低空タックル。
「ハッ!」
将軍はそれを仕留めようと剣を振り下ろした。
掛かった。
低空タックルは迎撃せずにかわすのが正解だ。
振り下ろした剣と腕は、取って下さいと言っているようなものである。
俺は紙一重で剣をかわし、顔の横に来た将軍の手首を素早く捕まえた。
「なんだと!」
慌てたがもう遅い。
手を取ったまま地面を転がる。
将軍も地面に転がった。
折られたくなければ、逆らわずに付き合うしかない。
ゴロゴロゴロ……!
激しく二回転してピタリと止まった。
「うぐっ……!」
将軍がくぐもった声を漏らす。
「なんだ……あの技は」
カルタスが、驚きと興味が混ざった表情で見つめる。
『脇固め』と言うらしい。
オオムカデンダルが俺に仕込んだプロレス技の一つだ。
こんな形で役に立つとは思ってなかった。
しかし、これは食らった者でなければ判らないが相当に痛い。
俺も散々オオムカデンダルに掛けられたが、完璧に決まると自力で抜け出すのはほぼ不可能だ。
「うぐああっ!」
将軍が苦悶の表情でうめく。
たっ!
背後で何かが地面を蹴るような音がした。
俺は危険を察して素早く離れた。
一回転して距離を取る。
ガシュッ!
素早く起き上がって見ると、振り下ろされた剣の切っ先が地面に埋まっている。
「……速いね、どうも」
もう一人の幼い将軍が、俺の居た場所を斬り付けていた。
脇固めから逃れた将軍も肩を押さえながら立ち上がる。
「……名前だけは聞いておこう。俺はメルドルム。貴様は?」
「……レオだ」
短く息を吐きながら素早く踏み込んでパンチ。
普通なら反応できない速度のステップインパンチだ。
ガッ!
これもやはり剣の柄を両手で振り下ろす格好で打ち落とされた。
くそっ、想像してたより強い。
さらに踏み込んで両手でワンツー。
その勢いで膝を叩き込む。
まだだ。
この程度ではこの男はしのいでしまう。
「シッ!シッ!シッ!シッ!」
連続でパンチとキックを繰り出す。
将軍は刀身で、柄で、時には肘で攻撃を跳ね返す。
脇腹を狙ったキックが、とっさに下げた肘で弾き返されるとは。
なかなかの芸当だ。
「ホントに人間か」
俺は思わず呟いた。
真面目に人間として修練を積んでいたら、こんな男には一生かかっても勝てないだろうなと思った。
これは生まれ持った才能があっての強さだ。
多少の嫉妬を覚える。
俺はオオムカデンダルにもらった強さでしかこの男と戦えないのか。
「神様、こんなの贔屓だろ……」
恨みがましく言ってみたが、そんな事を言っても始まらない。
貰い物だろうが何だろうが今は俺の力だ。
存分に見せつけてやる。
ザッ!
今度は低い姿勢で突っ込んだ。
地を這うような低空タックル。
「ハッ!」
将軍はそれを仕留めようと剣を振り下ろした。
掛かった。
低空タックルは迎撃せずにかわすのが正解だ。
振り下ろした剣と腕は、取って下さいと言っているようなものである。
俺は紙一重で剣をかわし、顔の横に来た将軍の手首を素早く捕まえた。
「なんだと!」
慌てたがもう遅い。
手を取ったまま地面を転がる。
将軍も地面に転がった。
折られたくなければ、逆らわずに付き合うしかない。
ゴロゴロゴロ……!
激しく二回転してピタリと止まった。
「うぐっ……!」
将軍がくぐもった声を漏らす。
「なんだ……あの技は」
カルタスが、驚きと興味が混ざった表情で見つめる。
『脇固め』と言うらしい。
オオムカデンダルが俺に仕込んだプロレス技の一つだ。
こんな形で役に立つとは思ってなかった。
しかし、これは食らった者でなければ判らないが相当に痛い。
俺も散々オオムカデンダルに掛けられたが、完璧に決まると自力で抜け出すのはほぼ不可能だ。
「うぐああっ!」
将軍が苦悶の表情でうめく。
たっ!
背後で何かが地面を蹴るような音がした。
俺は危険を察して素早く離れた。
一回転して距離を取る。
ガシュッ!
素早く起き上がって見ると、振り下ろされた剣の切っ先が地面に埋まっている。
「……速いね、どうも」
もう一人の幼い将軍が、俺の居た場所を斬り付けていた。
脇固めから逃れた将軍も肩を押さえながら立ち上がる。
「……名前だけは聞いておこう。俺はメルドルム。貴様は?」
「……レオだ」
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