見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二五三

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「集めたって程でも無いが、まあそうだ。金にはならなかったが、ヴァンパイアとか、昨日はサイクロプスやキメラも倒した。正式な斡旋所の依頼なら、その十倍以上は貰えただろうな」

 オレコが噴き出した。

「ちょっと、やーねぇ。幾ら何でもそれは話を広げすぎよ。そう言う話は嫌いじゃないけどね」

 そう言ってオレコは俺の胸をパンチした。
見た目よりも重いパンチだ。
さすがに男だな。

 まあ、別に無理に信じてもらう必要はない。
仕事さえしてくれれば、後はこっちの話なのだから。

「とりあえず、手持ちの情報だけでは満足してくれなさそうだから少し時間を頂戴。こっちで情報屋のパイプを使って集めてあげる」

 オレコはそう言うと壁に掛けてあった上着を着こんだ。

「早速動かなきゃ」

 オレコがウインクをする。
奇妙な男だが腕は確かな雰囲気がある。
行動の早さ、自信のある言動。
期待するとしよう。

 ギィ

 オレコが出る前に、先にドアが開いた。

「よお、オレコ。居るか?」

 入って来た男は、オレコとは明らかに真逆の雰囲気を持つ男だ。
背丈はオレコと同じくらいか。
結構高い。
だが、肩幅は倍は違う。
筋肉ダルマと言うわけでも無いが、鍛えられた良い体つきだ。

 顔はさらに攻撃的だ。
精悍さと粗暴さが同居している。
鋭い眼光、逆立った頭髪、大きな刀傷。
どれを取っても堅気では無さそうな雰囲気だ。

「あら、カルタス。ごめんなさい、今は忙しいの。またにしてくれるかしら」

「んあ?なんだ珍しい。男買いに行くにはまだ陽が高ぇぞ」

「ちょっと、お客様の前で冗談は止めて頂戴。仕事よ。お・仕・事!」

 どうやらオレコとは気心の知れた相手のようだ。

「客を放っぽり出して仕事だあ?なんでぇ、情報屋の方か」

 カルタスと呼ばれた男は俺をジロリと見た。

「アンタが依頼したのかい?」

「そうだ。そう言うアンタは何者だ。見た所ずいぶんと腕っぷしの強そうな感じだが、堅気では無さそうだ」

 カルタスが痛そうな顔をした。

「オホホホホホホホホホ!」

 突然オレコが大笑いする。
カルタスが頭を掻きながら言いにくそうに言う。

「いや……まぁ、俺は……花屋だ」

 は?

 そんな暴力的な顔の花屋が居るか。
生後間もない赤ん坊が、二児の父親と言うくらい信じられないんだが。

「顔のことは良いだろう」

 カルタスが明後日の方向を向く。
オカマの情報屋と人殺しの花屋。
いや、人を殺したとはまだ言ってなかった。
たぶん今から言うのだろう。

「そ、そうか……済まないな。あまりに見た目のインパクトが強すぎて、てっきり人殺……い、いや、反社会的な組織の人間かと思ったんだ」

 動揺しすぎて心の声がにじみ出てしまう。
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