見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
上 下
249 / 826

二四九

しおりを挟む
 まさか、本当に探せるのか。
なぜ遠く離れたこの地の遺跡を探せるのか。

「そこから北へ1キロほど進んだ先に、地下に大規模な空洞があります。形状から人工の物かと推測します」

 地下。
いや、なぜ地下のものが見付けられた。

「私には様々な『眼』がありますから」

 管理人は控え目にそう言った。
様々な眼。
俺のレーダーのような特殊な眼が何種類もあると言うことか。
これはかなり凄いことだ。
まさに千里眼と言える。

 俺は管理人の言葉を信じて、指定された辺りを探した。
だが、それらしき痕跡は見当たらない。
と言うことは、意図的に隠して建設されたと見るべきか。
最初からプニーフタールの為に造った神殿なのか。
見てみない事にはなんとも言えなかった。

「形状的にその辺りが入り口だと思います」

 管理人が言った。

 形状的にか。
つまり地下の遺跡の形状も見えている訳か。
そもそも、そうでなければ地下に遺跡があること自体見つけられまい。
管理人に隠し事をするのは難しそうだ。

 俺はボードを降りると岩肌に沿って歩いた。
レーダーの感度をあげる。
何者かが居れば、すぐにでも判る。

「おかしい。何の痕跡もないなんて」

 俺は今来た道を振り返った。
目印になりそうな物は何も無かった。
入り口はどこだ。

「レオさん。キメラは『異界の門を開いて』と言っていました。そもそも入り口など無いのでは?」

 俺は足を止めた。
そうか。
それなら入り口など不要だ。
入り口の形状が残っているのは、後から入り口を塞いだのかもしれない。

 もともとは普通の建造物だったとしたら、プニーフタールの為に後付けで利用しているだけか。

 何のための地下神殿なのか。
疑問は尽きないが、さしあたってどうやって入るかを考えなくては。

 オオムカデンダルなら、たぶん破壊して入っていくだろうな。
そんな考えが頭をよぎる。
だが、こんな遺跡を発見したら後で斡旋所に報告するのが冒険者の義務だ。
果たして破壊しても良いものか。

「……時間は無いんだ」

 俺は妹の事を優先する為に、自分にそう言い聞かせた。

 俺はもう一度、サフィリナックス・カタラクトを使うことにした。
今使える能力で、最大の破壊力を持つ技はこれしかない。

 体中のエネルギーをサフィリナックス・カタラクト用に順路を調整する。
生産したエネルギーを直接叩き込むためだ。
体内に渦巻く熱量が急激に高まるのを感じる。

 プシューッ!

 ふくらはぎが開く。
熱を蒸気と共に勢いよく放熱する。

「たあっ!」

 俺は高くジャンプした。
頂点で宙返りをすると、手首から触手を発射した。

 ガッ!

 固い岩肌に触手が突き刺さる。

「サフィリナックスカタラクトッ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...