見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二四三

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 そんな俺をよそに、令子は箱をキメラの首へとくっ付けている。
口には出さなかったが、かなり不気味な作業に思えた。
切断したキメラの首に細工を施すなんて、如何にも悪魔的な光景だ。

「……いったい何をしているんだ?」

 俺はたまりかねて令子に尋ねた。

「これ?持って帰ろうと思って。でも新鮮な方がいいでしょ。蜻蛉洲君も喜ぶだろうし」

 いや、俺が聞きたいのはそんな事ではないんだが。

「冗談よ。頭だけ生かしておくの。質問するには頭だけあれば足りるでしょ。後は重たそうだし、頭をこうしておけば一応生きていられるの」

 令子はそう言って『ね?』とキメラの頭に言った。

「なんと言う恐ろしい女だ……悪魔よりも悪魔的だ」

 キメラがしゃべった。
これは現実か。

「こんな目に合わされるとは……」

 キメラが後悔たっぷりに呟く。
コイツにここまで言わせるとは、相当な物だ。
俺から見てもかなりエグいやり方だ。
捕虜にするならまだしも。

「うふふふ……私たちを敵に回すからよ。お馬鹿さんね」

 令子は悪戯っぽく笑ったが、あまり洒落になっていない。

「さ、帰りましょうか。そろそろ貴方の妹さんも落ち着いているんじゃないかしら」

 そうだ。
ミーアは?
俺は急に我に返った。

「ククク……そうか。あの女はお前の妹なのか」

 キメラが突然しゃべり始めた。
なんだ、コイツ。

「あの村はなかなか拡がらなかったんだが、そうか、感染した片方はお前の……」

 キメラが可笑しそうに笑う。
何が可笑しい。

「これで、死ぬ間際に多少は嫌がらせが出来るな」

「なんだと……ッ!」

 俺はカッとなった。
妹に何をする気だ。
これ以上何かしてみろ、脳天を叩き割って犬に食わせてやる。

「ククク……良いとも。是非そうするが良い。冥土の土産話に丁度良いわ。貴様も同じくらい絶望するのだ。痛み分けだなあ」

 そう言ってキメラは長い舌を出してニヤアと笑った。
この野郎……!

 俺は居ても立ってもいられず、この場から走り出した。
キメラをぶっ殺すのは後だ。
ミーアを、守らなければ。

 俺は脱兎の如く駆けながら、ボードを呼んだ。
すぐにボードが飛んできて俺と並走する。
俺はボードに飛び乗ると、そのままミーアの元へと飛んだ。

 くそッ、何だと言うのだ。
不安が大きくなっていく。

 眼下に風車小屋が見えてきた。
俺は着地するのももどかしく、そのままそこへ飛び降りた。

 だんっ!

 突然目の前に俺が降ってきて、村長は腰を抜かした。

「な、ななな、なんじゃっ?」

「村長。蜻蛉洲は?」

「な、レオか?」

 俺は変身したままの姿だ。
村長が判らなくても無理はない。
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