見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二〇七

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「ところで何処へ向かうんだ?」

 蜻蛉洲が話題を変えた。

「取り敢えず斡旋所へ行こうと思う」

「斡旋所?例の冒険者の為のアレか」

「そうだ。伝言や手紙や預かり物や、まあその他色んな物があるかどうか確認したいしな」

 蜻蛉洲がアゴに手を当てた。

「冒険者が何処に居るのか判らないのに手紙が届くのか?」

「いや、基本的に地方で預かった伝言や手紙は、中央に連絡が行く。こっちで確認したいと言えば中央に問い合わせて何処にあるか知る事ができる」

「場所が判ったら取りに行く訳か。中々手間が掛かるな」

「まあ、取りに行ったり届けてもらったり、色々さ。彼らは大変だろうが、冒険者には必須の便利な仕組みだからな」

 蜻蛉洲が、なるほどと言った。
だが彼らからすれば、おそらく面倒臭いシステムなのだろう。
今や俺だって走った方が早い体なのだ。

「おや、レオ。何処かに出掛けるのかえ?」

 サルバスが広間に入ってきた。

「ええ」

「彼はプニーフタールとか言う存在を追ってるんですよ」

 蜻蛉洲が説明する。

「なに。プニーフタール?」

 サルバスの声が一段高くなった。

「お前、何故プニーフタールを追う?」

 話が長くなるから嫌だったが、説明しない訳にはいかない。
俺は渋々経緯を説明した。

「ふぅむ。まさかそんな事が起こっていたとは……」

 賢者でも知らなかったのか。
相手は邪神だ。
仕方がないのかもしれない。

「では地方の小さな事件の中にはプニーフタール絡みの案件もあるやもしれんな」

「それを一つづつ追って行こうと考えてます」

 気の遠くなる話だが、それしか方法はない。

「サルバス殿。プニーフタールとは如何なる存在か」

 蜻蛉洲が尋ねた。
俺も聞きたい。

「実は、プニーフタールについてはほとんど何も知られていない。いつから居るのか、何処から来たのか。一切不明だ」

 邪神とは言え神なのだ。
人間の知るところでは無いのだろう。

「ただ、古に封印されたとある。倒せなかったのだ。だから苦肉の策として封じた。しかしそれさえ簡単ではなかったようだな」

 邪神を封印する。
いったいどうやって。

「古代のドラゴンクラスだろうな。今には無い失われた武器や魔法があったらしい。今、プニーフタールと相対すれば、はて、どうやって封印したものか……」

 サルバスは髭をさわって考え込んだ。

「そんなもん封印なんかするかよ。倒すんだよ」

 オオムカデンダルの声がする。
見ればやはりオオムカデンダルが広間に入ってきた所だった。

 マズイぞ。
オオムカデンダルが来たら話がややこしくなる。
俺はなるべく話を切り上げて、出発するタイミングを見計らった。
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