見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一五四

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  俺はうっすらと目を開けた。
眠っていたのか。

 そうだ。

 すぐに大事な事に気がつく。
俺の体は。
俺の体はどうなっている。
慌てて自分の両手を見る。

 普通だ。
見慣れた自分の手。
どこも変わっていない。

「まだ、始まっていないのか」

 俺は無意識に安堵した。
そして、すぐにそれは違うと気がつく。
あの時、俺は立っていた。
体を固定され、両手も固定されていた。

 だが、俺は今ベッドに横になっている。
両手も自由だ。
どうも記憶が繋がらない。

 立ったまま拘束されて、横の棺から何かが出てきた。
そこからこの場面にどうしても繋がらない。
と言うことはつまり。

「目が覚めたか」

 蜻蛉洲の声がする。
俺は首を起こして入り口を見た。
そこには蜻蛉洲が立っていた。

「気分はどうだ。まぁ、失敗などある筈もない。僕が手術したのだからな。どこも何も異常はない筈だ。あるか?」

 俺は自分の体の違和感を探した。

 ない。
どこにも異常など感じない。
昨日の自分と全く同じだ。

「付いてこい。お披露目だ」

 そう言って蜻蛉洲が部屋を出た。
俺もベッドから立ち上がると、その後を追う。

「おい。できたぞ」

 部屋に入るなり蜻蛉洲はみんなに言った。
続いて部屋に入った俺の前には、全員がすでに揃っていた。
 蜻蛉洲、令子、オオムカデンダル、フィエステリアーム、ナイーダ、全員だ。

「できたか。早速お前の自信作を見せてもらおうか」

 オオムカデンダルが品定めでもするように言った。
実際そうなのだろう。
俺の事を蜻蛉洲の『自信作』と言った。
なんだかやりきれない。

「まずは変身してもらわんとな。できるか?」

 蜻蛉洲が俺を見ながら言った。
できる訳ないだろ。
なんだよ変身って。
いや、変身の意味くらいは判るが、そんなことしたことないのにできる筈もない。

「いや、判る筈だ。感覚的に判る。人間はやったことの無いことでも、できることなら『直感的に』できると感じるようになっている」

 そんな事を言われても……
俺は目をつぶって感覚的に変身できそうか探ってみる。

「レオ。見ていろ、こうだ」

 そう言うと蜻蛉洲はその場でくるりと一回転した。
次の瞬間、正面を向いた時にはもう蜻蛉洲はオニヤンマイザーに変わっていた。

「何か感じないか。できそうだと言う感覚だ」

 今、目の前で見たせいか、確かに何だかできそうな気がする。

 マジか。

 俺は神経を変身するように合わせた。
昔、初めて宙返りをした時、初めてなのにやる前からできそうな感じがした。
試したてみたら、一発で宙返りができた。
あんな感覚が今ある。
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