見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一二一

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 さらに続く。

 ライエルとオオムカデンダルの周りを、魔法の檻が取り囲んだ。

 エクスキューション・ジェイル。
 
中から出ることは出来ないが、外からの攻撃は通過する魔法の檻だ。
敵を閉じ込めて味方で取り囲み、一方的に攻撃を加えるための魔法。
まさに処刑用である。

 正直なところ、どれも実際に見るのは初めての魔法ばかりだった。
これが上級魔法職の力か。

「おい!ここまでの助勢はいらん!余計な真似はするな!」

 ライエルは味方に向かって叫んだ。
武人気質のライエルには、卑怯と感じられたのかもしれない。

 しかし、味方にしてみればルドムが敗れた今、再び将軍が敗れる訳にはいなかないと言うのが心情だろう。
ここは絶対に退かない筈だ。

「いいぜ、気にするなよ。俺はどうってことない」

 オオムカデンダルはそう言いながら肩をすくめて見せた。
本当に大丈夫なのか。
これだけの魔法の支援は、そうそうお目にかかれない。
どんな相手でも絶対に仕止めると言う布陣だ。

 ましてや相手は帝国将軍、豪将ライエルだ。
見た目は一対一だが、その間も魔法の攻撃は背後から飛んでくる。
これはどう見ても公開処刑だ。

「なあ……さすがに加勢した方が良いんじゃないか?」

 俺はオニヤンマイザーに言った。

「良いんじゃないか。これで痛い目に会うなら少しは懲りるだろう」

 ウロコフネタマイトも似たような反応を示した。

「勝手に加勢すると百足君、怒るもの」

 そんな中、フィエステリアームは別の反応を示した。

「僕は良いけど」

「駄目よ。あなたはさっき出番あったでしょ。百足君の出番を取ったら彼、へそを曲げるわよ」

 ウロコフネタマイトにたしなめられて、フィエステリアームは無表情のまま黙った。
納得したのか機嫌を損ねたのか、その表情からはさっぱり読めない。

 結局、誰も加勢しないと言うことか。
嫌われてるのか信頼されてるのかもよく判らない。
まあ、後者だとは思うが。

「貴様……本気か。どこまで本気なのだ」

 ライエルがオオムカデンダルの真意をはかりかねている。
当然だろう。
俺でさえどこまで本気なのか判らないのだから。

「全部さ。ま、やってみりゃ判る」

 オオムカデンダルの余裕にライエルの迷いが消えた。

「良いだろう。その心意気やよし!負けても文句は言うなよ」

「言うかよ」

 オオムカデンダルの返事にライエルはニヤリと笑った。

「仕切り直しだ!いざ参るッ!」

 ライエルが吠えて背中の大剣を抜いた。

「そう、それでいい。余計な遠慮は無用だ」

 オオムカデンダルが嬉しそうに言った。
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