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一〇五
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「さあ、下がった下がった」
フィエステリアームから離れるようにオオムカデンダルが追い払う。
「使うなと言ったが、絶対に使わないかどうかはフィエステリアーム次第だからな。死にたくないなら、なるべく離れろ」
オオムカデンダルはそう言って自らもフィエステリアームと距離を取った。
「……そんなに危険なのか?」
俺は恐る恐る尋ねた。
「危険だ。彼はフィエステリア・ピシシーダと言う『藻』の性質を持っている。二十四の形態を持ち、空気感染する猛毒を操る。僕たちでさえ無効化できない」
オニヤンマイザーの声が背後からした。
「やれやれ、遅いから何をしているのかと見に来てみれば」
オニヤンマイザーは変身を解いていた。
蜻蛉洲秀一の姿に戻っている。
「これはどういう騒ぎなんだ」
「別に。帝国の将軍様が赤ん坊を返せってさ」
「赤ん坊?」
「ほれ、令子の持ってるアレだ」
オオムカデンダルが顎で赤ん坊を指した。
「何だ、あれは」
「あれ?お前、赤ん坊見たことないの?」
「そんな訳ないだろ。あの赤ん坊は何だと言っている」
からかわれている事に今一つ気付いていない。
オオムカデンダルは面白そうに笑っている。
「……帝国の姫君だ」
代わりに俺が答えた。
「姫君?」
蜻蛉洲が眉をひそめる。
「返せと言うなら返せばよかろう。面倒ごとに首を突っ込むな」
蜻蛉洲としては当然のスタンスだ。
自分の興味以外とはなるべく関わらない。
「断ってやった」
オオムカデンダルが嬉しそうに言う。
「何故?」
蜻蛉洲が判らないと言う顔でオオムカデンダルを見た。
「ああいう真面目そうな奴を見るとからかいたくなるだろ?」
オオムカデンダルは事も無げに言い放った。
たったそれだけ?
それが理由なのか?
俺は呆れと驚きでオオムカデンダルを凝視した。
そして、同時に理解した。
オオムカデンダルが蜻蛉洲をからかう理由も同じものなのだと。
真面目な奴をからかいたい。
ひょっとして俺もそれに含まれているのではないか。
そんな気がする。
「……だとしても、それが何故フィエステリアームが相手をする事になる。普通、止めるだろう」
「止めたよ。無駄だった」
「無駄?」
「反抗期らしい」
「そんな馬鹿な……」
「じゃあお前が止めろよ。俺はごめんだね」
オオムカデンダルの言葉に蜻蛉洲は信じられないと言う顔でフィエステリアームを見た。
「主に私が教育したんだぞ。それが反抗期だと……」
「だからじゃないの?」
オオムカデンダルの言葉には容赦がない。
「……僕は反抗期など無かった」
それが関係あるかどうかはともかく、ルドムは自分の相手が子供と知って多少困惑していた。
「子供……?」
「僕が相手だ。よろしく」
フィエステリアームがペコリと頭を下げた。
フィエステリアームから離れるようにオオムカデンダルが追い払う。
「使うなと言ったが、絶対に使わないかどうかはフィエステリアーム次第だからな。死にたくないなら、なるべく離れろ」
オオムカデンダルはそう言って自らもフィエステリアームと距離を取った。
「……そんなに危険なのか?」
俺は恐る恐る尋ねた。
「危険だ。彼はフィエステリア・ピシシーダと言う『藻』の性質を持っている。二十四の形態を持ち、空気感染する猛毒を操る。僕たちでさえ無効化できない」
オニヤンマイザーの声が背後からした。
「やれやれ、遅いから何をしているのかと見に来てみれば」
オニヤンマイザーは変身を解いていた。
蜻蛉洲秀一の姿に戻っている。
「これはどういう騒ぎなんだ」
「別に。帝国の将軍様が赤ん坊を返せってさ」
「赤ん坊?」
「ほれ、令子の持ってるアレだ」
オオムカデンダルが顎で赤ん坊を指した。
「何だ、あれは」
「あれ?お前、赤ん坊見たことないの?」
「そんな訳ないだろ。あの赤ん坊は何だと言っている」
からかわれている事に今一つ気付いていない。
オオムカデンダルは面白そうに笑っている。
「……帝国の姫君だ」
代わりに俺が答えた。
「姫君?」
蜻蛉洲が眉をひそめる。
「返せと言うなら返せばよかろう。面倒ごとに首を突っ込むな」
蜻蛉洲としては当然のスタンスだ。
自分の興味以外とはなるべく関わらない。
「断ってやった」
オオムカデンダルが嬉しそうに言う。
「何故?」
蜻蛉洲が判らないと言う顔でオオムカデンダルを見た。
「ああいう真面目そうな奴を見るとからかいたくなるだろ?」
オオムカデンダルは事も無げに言い放った。
たったそれだけ?
それが理由なのか?
俺は呆れと驚きでオオムカデンダルを凝視した。
そして、同時に理解した。
オオムカデンダルが蜻蛉洲をからかう理由も同じものなのだと。
真面目な奴をからかいたい。
ひょっとして俺もそれに含まれているのではないか。
そんな気がする。
「……だとしても、それが何故フィエステリアームが相手をする事になる。普通、止めるだろう」
「止めたよ。無駄だった」
「無駄?」
「反抗期らしい」
「そんな馬鹿な……」
「じゃあお前が止めろよ。俺はごめんだね」
オオムカデンダルの言葉に蜻蛉洲は信じられないと言う顔でフィエステリアームを見た。
「主に私が教育したんだぞ。それが反抗期だと……」
「だからじゃないの?」
オオムカデンダルの言葉には容赦がない。
「……僕は反抗期など無かった」
それが関係あるかどうかはともかく、ルドムは自分の相手が子供と知って多少困惑していた。
「子供……?」
「僕が相手だ。よろしく」
フィエステリアームがペコリと頭を下げた。
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