97 / 826
九七
しおりを挟む
「ちっ……余計な真似を」
オニヤンマイザーが苦々しそうに呟いた。
ドオオオオオオンッ!
ドオオオオオオンッ!
そうこうしている間にも、次々とフレイム・アローがロック鳥に命中する。
「しゃあない。俺があいつら黙らせてやろうか?」
オオムカデンダルが腕をグルグル回しながら、どことなく嬉しそうに言った。
「とんでもない!国軍に手を出すなど、それこそ戦争になる!」
俺は慌ててオオムカデンダルを止めた。
止めなければ冗談抜きで本当に始めてしまうだろう。
いや、俺には判る。彼ならやる。
「くそ……これだから人間どもに関わるのは嫌だったんだ……!」
オニヤンマイザーはそう言ったが、モンスター欲しさに出てきたのはアンタだろう。と言うのは言わない方が良さそうだ。
「だったら先にロック鳥を捕まえて、さっさと撤収すればいい。どうせヤツらは追って来れない」
俺はそう言ってなるべく彼らの気が立たないように努めた。
「……ふん。言われなくてもそうするつもりだ」
オニヤンマイザーはそう言うと、空のロック鳥を仰ぎ見た。
バッ!
オニヤンマイザーの背中から透明な薄い羽が飛び出した。
四枚の羽、大きな複眼、凶悪そうな下顎、そして黄色と黒のカラーリング。
注意を喚起する黄色と黒は、見るからに危険な印象を受ける。
これはトンボだ。
オニヤンマイザーこと蜻蛉洲秀一は、トンボの怪人なのだ。
タッ
軽く地面を蹴ると、オニヤンマイザーは軽やかに空へと飛び立った。
ブー……ン
あの大きさだ。
普通は聞こえないトンボの羽音がしっかりと聞こえる。
オニヤンマイザーは空を舞うロック鳥目掛けて、一直線に迫った。
ヒューッ!
それと同じタイミングで再びフレイム・アローがロック鳥に迫る。
「危ない!」
俺は思わず叫んだ。
「うるさい。邪魔をするな」
オニヤンマイザーは冷静に迫りくるフレイム・アローを片手で払った。
ドオオオオオオンッ!
払った瞬間、フレイム・アローは大爆発を起こす。
俺は硬直してしまった。
フレイム・アローの直撃だと?
いくら彼らでも無傷では済むまい。
しかし、俺の心配など耳くそほどの意味もなかった。
オニヤンマイザーもまた、少しもダメージを受けていない。
「何てことだ……」
俺は呆然とした。
強さのレベルが根本的に人間とは違いすぎる。
モンスターと比べても遜色ないどころか、彼らの方が明らかに強かった。
今頃、国軍の方でも大騒ぎになっているだろう。
間違いない。
オニヤンマイザーはスピードを上げてロック鳥を追う。
そして、追い付くと頭の上に取りついた。
次の瞬間、俺は目を疑った。
ロック鳥が突然墜落を始めたのだ。
「なんだ!?」
「ただの麻酔さ」
俺の疑問にオオムカデンダルが当然だと言うように答えた。
「麻酔?」
「寝かせたのさ。これで運べるだろ?」
そんなことも出来るのか。
俺は呆然と視線をロック鳥へと戻した。
オニヤンマイザーが苦々しそうに呟いた。
ドオオオオオオンッ!
ドオオオオオオンッ!
そうこうしている間にも、次々とフレイム・アローがロック鳥に命中する。
「しゃあない。俺があいつら黙らせてやろうか?」
オオムカデンダルが腕をグルグル回しながら、どことなく嬉しそうに言った。
「とんでもない!国軍に手を出すなど、それこそ戦争になる!」
俺は慌ててオオムカデンダルを止めた。
止めなければ冗談抜きで本当に始めてしまうだろう。
いや、俺には判る。彼ならやる。
「くそ……これだから人間どもに関わるのは嫌だったんだ……!」
オニヤンマイザーはそう言ったが、モンスター欲しさに出てきたのはアンタだろう。と言うのは言わない方が良さそうだ。
「だったら先にロック鳥を捕まえて、さっさと撤収すればいい。どうせヤツらは追って来れない」
俺はそう言ってなるべく彼らの気が立たないように努めた。
「……ふん。言われなくてもそうするつもりだ」
オニヤンマイザーはそう言うと、空のロック鳥を仰ぎ見た。
バッ!
オニヤンマイザーの背中から透明な薄い羽が飛び出した。
四枚の羽、大きな複眼、凶悪そうな下顎、そして黄色と黒のカラーリング。
注意を喚起する黄色と黒は、見るからに危険な印象を受ける。
これはトンボだ。
オニヤンマイザーこと蜻蛉洲秀一は、トンボの怪人なのだ。
タッ
軽く地面を蹴ると、オニヤンマイザーは軽やかに空へと飛び立った。
ブー……ン
あの大きさだ。
普通は聞こえないトンボの羽音がしっかりと聞こえる。
オニヤンマイザーは空を舞うロック鳥目掛けて、一直線に迫った。
ヒューッ!
それと同じタイミングで再びフレイム・アローがロック鳥に迫る。
「危ない!」
俺は思わず叫んだ。
「うるさい。邪魔をするな」
オニヤンマイザーは冷静に迫りくるフレイム・アローを片手で払った。
ドオオオオオオンッ!
払った瞬間、フレイム・アローは大爆発を起こす。
俺は硬直してしまった。
フレイム・アローの直撃だと?
いくら彼らでも無傷では済むまい。
しかし、俺の心配など耳くそほどの意味もなかった。
オニヤンマイザーもまた、少しもダメージを受けていない。
「何てことだ……」
俺は呆然とした。
強さのレベルが根本的に人間とは違いすぎる。
モンスターと比べても遜色ないどころか、彼らの方が明らかに強かった。
今頃、国軍の方でも大騒ぎになっているだろう。
間違いない。
オニヤンマイザーはスピードを上げてロック鳥を追う。
そして、追い付くと頭の上に取りついた。
次の瞬間、俺は目を疑った。
ロック鳥が突然墜落を始めたのだ。
「なんだ!?」
「ただの麻酔さ」
俺の疑問にオオムカデンダルが当然だと言うように答えた。
「麻酔?」
「寝かせたのさ。これで運べるだろ?」
そんなことも出来るのか。
俺は呆然と視線をロック鳥へと戻した。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる