見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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九五

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 オオムカデンダル、オニヤンマイザー、フィエステリアーム、貝塚令子ことウロコフネタマイトの四人は、モンスターたちの死体をその『家』の中に次々と運び込んだ。

 自分の背丈をはるかに越える巨体のモンスターも、彼らはひょいと担ぎ上げると難なく運んだ。
フィエステリアームと令子は、変身せずに人間の姿のままでも怪力ぶりを発揮していた。

「凄い……なんなの、あの人たち」

 ナイーダが俺の横で呟いた。

「怖いか?」

 俺の問いかけにナイーダは首を横に振った。

「びっくりしたけど、怖くはないわ。だって知り合いなんでしょ」

 まあ、確かに知り合いだが、彼らが『善き者』かどうかは俺にも判らない。
ただ恩義があると言うだけだ。

 それも命の恩人と言う、返せないほどの大きな恩義だ。

「ところで」

 モンスターを運びながらフィエステリアームが言った。

「さっきから僕たちの頭の上で様子を窺ってるアレは何なんだい?」

 俺は言われて空を見た。

 ロック鳥だ。

 俺を始末して山頂に降り立ったかと思っていた。
オオムカデンダルたちがあれだけ暴れたのだ。
気が付かない筈がない。

 足にはさっきまで握られていた象が居なかった。
やはり一度は山頂に降りたのか。

「エサを食べようと思ったが、うるさくて見に来たってところか」

 俺はロック鳥を見上げながら言った。

「あー、俺はパスするぜ。翔べないからな、面倒くさい」

 オオムカデンダルがロック鳥を見て言った。
この男がそんな事を言うなんて珍しい。

「そうか。じゃあ僕がやろうか……」

 フィエステリアームがそう言いながら前に出た。

「いやいやいやいやいや!駄目だ!いや、駄目じゃないが……お前がやるほどの事でもないだろう?」

 急にオオムカデンダルが割って入る。

 なんだ?

 態度がおかしい。

「そうね。フィエステリアームがやらなくても良いんじゃないかしら。蜻蛉洲君の都合で来たんだし」

 令子がそう言ってオニヤンマイザーを見た。

「あ、ああ。そうだな。僕がやろう」

 三人とも何か妙だ。
フィエステリアームに戦わせたくないように感じる。

 俺はこの際だからフィエステリアームを含めた全員の力を見てみたかったのだが。
まあ、オニヤンマイザーが戦うと言うのなら、それも見てみたかった。

「……どうして彼に戦わせたくないんだ?」

 俺は令子にそっと尋ねた。

「アナタ、死にたくないでしょう?」

 令子がそう言って俺を見た。
俺の為だと言うのか?

「そうよ。もっとも、私たちだって被害を受けるから、アナタだけの為って訳でもないけど」

 彼女たちも被害を受ける?
良く判らなかったがフィエステリアームが戦うと周りの被害が大きいと言うことらしい。
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