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七一
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頭は犬、体は人。
一般的な成人男性よりも小柄だが、必ず徒党を組んで出没する。
力はそれほど驚異でもないが、とにかく好戦的というか、残酷な性格だ。
本人たちはイタズラのつもりだろうと言う説もあるが、とにかく弱い者に対しての行動が執拗で残酷だ。
武器を持っている事が多く、知性も感じられる。
とは言え、こん棒とか精々が小さなハンドアックスレベルだ。
冒険者なら最初のライバルとも言える存在だ。
それでも夜襲や小規模のパーティーに対する大集団の襲撃には、注意しなければ冒険者と言えどもあっという間に全滅もあり得る。
油断は禁物の相手だ。
鉱脈付近を見てみる。
山頂に近い鉱脈付近は更にレベルの高いモンスターがいる。
「バジリスクだと……」
俺は震えた。
こんなのが鉱脈を護っているのか。
現在、鉱脈付近を占拠しているのは間違いなくコイツだ。
おそらく現在の銀山の主だ。
見た目は大きめのトカゲだが、その本性はかなりエグい。
王冠をかぶったような不思議な頭部の形状。
そして毒。
ただの毒ではない。超強力な毒だ。
近付いただけでも死にかねず、長い槍で突いても毒は槍を伝わり死ぬと言われている。
だが、それが最も恐ろしい特徴ではない。
『石化』
これだ。
バジリスクと視線が合ったら石化すると言う。
これはほぼ即死と同じ意味である。
どうやって倒すんだこれ。
俺は早くも挫けそうになっていた。
あくまでも『なっていた』だ。
まだ挫けてはいない。
強がりだが。
「ありがとう」
俺はそう言って斡旋所を出た。
右手と右足が同時に出ていた気もするが、そんな事はどうでも良かった。
近くの雑貨屋で道具を調達して、その足で入山するべく銀山へ向かった。
勢いが大事だ。
止まったらもう進めない気がした。
昼前に銀山の入り口にたどり着いた。
この辺りになると、まだ入山前だがほとんど人気はない。
至る所に入山を規制する立て札が立っている。
山道には柵が幾つも見えた。
それでも役人が立っていない所を見ると、さすがに役人でさえも荷が重いと言うことだろう。
俺は内心、余計なことしやがって。と思っていた。
こんなにリアルに、国も及び腰だと知るほどに怖くなってくる。
荷物が多くて歩くのに難儀する。
俺はとりあえず最初の柵を乗り越えて入山した。
辺りを警戒しながら俺はゆっくりと進んだ。
ゴツゴツとした山肌がむき出しになっており、景観は美しくない。
その分視界は良いといえた。
幾つか柵を越えて精神的にも少しなれてきた。
できればこのままモンスターには遭遇せずに進みたい。
「おい、アンタ」
突然背後から声がした。
俺は死ぬほど驚いた。
一般的な成人男性よりも小柄だが、必ず徒党を組んで出没する。
力はそれほど驚異でもないが、とにかく好戦的というか、残酷な性格だ。
本人たちはイタズラのつもりだろうと言う説もあるが、とにかく弱い者に対しての行動が執拗で残酷だ。
武器を持っている事が多く、知性も感じられる。
とは言え、こん棒とか精々が小さなハンドアックスレベルだ。
冒険者なら最初のライバルとも言える存在だ。
それでも夜襲や小規模のパーティーに対する大集団の襲撃には、注意しなければ冒険者と言えどもあっという間に全滅もあり得る。
油断は禁物の相手だ。
鉱脈付近を見てみる。
山頂に近い鉱脈付近は更にレベルの高いモンスターがいる。
「バジリスクだと……」
俺は震えた。
こんなのが鉱脈を護っているのか。
現在、鉱脈付近を占拠しているのは間違いなくコイツだ。
おそらく現在の銀山の主だ。
見た目は大きめのトカゲだが、その本性はかなりエグい。
王冠をかぶったような不思議な頭部の形状。
そして毒。
ただの毒ではない。超強力な毒だ。
近付いただけでも死にかねず、長い槍で突いても毒は槍を伝わり死ぬと言われている。
だが、それが最も恐ろしい特徴ではない。
『石化』
これだ。
バジリスクと視線が合ったら石化すると言う。
これはほぼ即死と同じ意味である。
どうやって倒すんだこれ。
俺は早くも挫けそうになっていた。
あくまでも『なっていた』だ。
まだ挫けてはいない。
強がりだが。
「ありがとう」
俺はそう言って斡旋所を出た。
右手と右足が同時に出ていた気もするが、そんな事はどうでも良かった。
近くの雑貨屋で道具を調達して、その足で入山するべく銀山へ向かった。
勢いが大事だ。
止まったらもう進めない気がした。
昼前に銀山の入り口にたどり着いた。
この辺りになると、まだ入山前だがほとんど人気はない。
至る所に入山を規制する立て札が立っている。
山道には柵が幾つも見えた。
それでも役人が立っていない所を見ると、さすがに役人でさえも荷が重いと言うことだろう。
俺は内心、余計なことしやがって。と思っていた。
こんなにリアルに、国も及び腰だと知るほどに怖くなってくる。
荷物が多くて歩くのに難儀する。
俺はとりあえず最初の柵を乗り越えて入山した。
辺りを警戒しながら俺はゆっくりと進んだ。
ゴツゴツとした山肌がむき出しになっており、景観は美しくない。
その分視界は良いといえた。
幾つか柵を越えて精神的にも少しなれてきた。
できればこのままモンスターには遭遇せずに進みたい。
「おい、アンタ」
突然背後から声がした。
俺は死ぬほど驚いた。
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