70 / 826
七〇
しおりを挟む
「銀山の事はご存じですよね」
だいぶしつこいな。
まあ、知らずに一攫千金を狙おうという輩もいるのかもしれない。
そういう者たちの為の救済なのだろう。
「大丈夫だ。全部理解している」
俺はそう言って受付嬢の言葉をさえぎった。
「……そう……ですか」
受付嬢が諦めたという顔をした。
「ではミスリル銀山の何をお知りになりたいのですか?」
「正確な場所と出没モンスターのリストがあれば欲しい。地図もあるなら尚ありがたい」
俺は思い付く限り必要と思われる情報を欲した。
「判りました。地図はすぐにお渡しできます。リストの方は作成に少しお時間を頂戴します」
「助かる。ありがとう」
受付嬢に礼をいう。
そして例の所長特使のバッジを見せた。
「代金はトカナの所長に付けておいてくれ」
受付嬢は目を丸くした。
「特使バッジ……初めて見ました。判りました、ではしばらくお待ち下さい」
受付嬢はあらたまって事務所へと消えていった。
俺はラウンジで時間を潰しながら依頼の貼り紙を眺めた。
それなりに依頼は出ているが、派手な依頼はあまり無いようだ。
ミスリル銀山を抱えている割りにモンスター関連はほとんど無い。
むしろ、ミスリル銀山絡みの依頼は一件も無い。
銀山を徹底封鎖しているからだろうか。
かえって不自然さを感じるほどだ。
「お待たせしました、レオ様」
受付嬢が背後から声を掛けてきた。
「こちらになります」
銀山の周辺と銀山の地図。
それから出没モンスターの詳しい情報と目撃場所が記されている。
「凄いな。こんなに細かく詳細が判るのか。この情報を集めたヤツはよほど腕のたつレンジャーか?」
そうとしか思えないほど克明に記されている。
ブラックナイト級のレンジャーでも、これは可能なのかと首をかしげたくなるほどの内容だった。
「いえ、これはミスリル銀山に何度も侵入している方からの善意の情報提供です」
俺は受付嬢の顔を見た。
「なんだって?善意の情報提供?」
胡散臭いヤツが居るものだ。
「はい。何度も辞めるように斡旋所からも言っているのですが、無理やり入山されては何度もこのように情報をまとめられて」
「ちょっと待て。そいつは一般人なのか?」
「そううかがってます」
ミスリル銀山に一般人が何度も入山だと。
俺が思うより難易度は低いのか?
俺は資料に目を落とした。
ふもとの辺りからすでにモンスターが目撃されている。
しかもかなりの頻度だ。
山頂付近の鉱脈に向けて、モンスターのレベルが上がっていく傾向にはあるが……
「ふもと付近の一番低レベルモンスターでいきなりコボルトかよ……」
これを作成したヤツは頭がどうかしている。
だいぶしつこいな。
まあ、知らずに一攫千金を狙おうという輩もいるのかもしれない。
そういう者たちの為の救済なのだろう。
「大丈夫だ。全部理解している」
俺はそう言って受付嬢の言葉をさえぎった。
「……そう……ですか」
受付嬢が諦めたという顔をした。
「ではミスリル銀山の何をお知りになりたいのですか?」
「正確な場所と出没モンスターのリストがあれば欲しい。地図もあるなら尚ありがたい」
俺は思い付く限り必要と思われる情報を欲した。
「判りました。地図はすぐにお渡しできます。リストの方は作成に少しお時間を頂戴します」
「助かる。ありがとう」
受付嬢に礼をいう。
そして例の所長特使のバッジを見せた。
「代金はトカナの所長に付けておいてくれ」
受付嬢は目を丸くした。
「特使バッジ……初めて見ました。判りました、ではしばらくお待ち下さい」
受付嬢はあらたまって事務所へと消えていった。
俺はラウンジで時間を潰しながら依頼の貼り紙を眺めた。
それなりに依頼は出ているが、派手な依頼はあまり無いようだ。
ミスリル銀山を抱えている割りにモンスター関連はほとんど無い。
むしろ、ミスリル銀山絡みの依頼は一件も無い。
銀山を徹底封鎖しているからだろうか。
かえって不自然さを感じるほどだ。
「お待たせしました、レオ様」
受付嬢が背後から声を掛けてきた。
「こちらになります」
銀山の周辺と銀山の地図。
それから出没モンスターの詳しい情報と目撃場所が記されている。
「凄いな。こんなに細かく詳細が判るのか。この情報を集めたヤツはよほど腕のたつレンジャーか?」
そうとしか思えないほど克明に記されている。
ブラックナイト級のレンジャーでも、これは可能なのかと首をかしげたくなるほどの内容だった。
「いえ、これはミスリル銀山に何度も侵入している方からの善意の情報提供です」
俺は受付嬢の顔を見た。
「なんだって?善意の情報提供?」
胡散臭いヤツが居るものだ。
「はい。何度も辞めるように斡旋所からも言っているのですが、無理やり入山されては何度もこのように情報をまとめられて」
「ちょっと待て。そいつは一般人なのか?」
「そううかがってます」
ミスリル銀山に一般人が何度も入山だと。
俺が思うより難易度は低いのか?
俺は資料に目を落とした。
ふもとの辺りからすでにモンスターが目撃されている。
しかもかなりの頻度だ。
山頂付近の鉱脈に向けて、モンスターのレベルが上がっていく傾向にはあるが……
「ふもと付近の一番低レベルモンスターでいきなりコボルトかよ……」
これを作成したヤツは頭がどうかしている。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる