見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三三

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 俺はバッジを受けとるとそのまま階下で報酬を受け取った。

 宛がないなら最初はドアンに行くのが良いと思う。
俺は所長の言葉を思い出していた。
比較的大きめの町の中ではここから近い方の部類だ。

 そこならハイパーナイトクラスの冒険者も、ここよりは簡単に集められるかもしれない。

 装備品もドアンで揃えた方が良いだろう。
ここよりも品揃えは良い筈だ。

 俺は馬を調達するか考えた。
あった方が楽だし便利だとは思うが、今の俺なら走れるような気もする。

「鍛練と試験を兼ねて、試しに走ってみるか」

 俺は自分の限界を試したかった。
まだどのくらい自分がやれるのか見当もつかない。

 俺は軽く駆け出した。
予想通りの感覚だ。
手足はスムーズに動き、息も全くあがらない。
これは思ったよりやれそうだと思った。

 そうだ。例の補強器。

 俺は足に装着したままの補強器を思い出した。
なんとなくもらったような感じになってしまったが、まあ今は良いだろう。

 俺はあまり深く考えずに足の突起物をひねった。

ブーン……

 またあの静かな振動音が聞こえてくる。

「よし……」

 俺は今度は少し強めに駆け出した。

ダッ!

「うおっ!これは……!」

 自分でも驚くスピードで体が前へと発射された。
これは馬と同等かそれ以上の速度だ。
しかもまだ本気ではない。

「これは……凄いが……危ないな」

 身体強化を受けているから走れている、そんな感じだ。
生身のままでは足が壊れているか、付いていけずに転倒して走れなかったかもしれない。

「本気を出してみるか……」

 俺は好奇心に駆られて本気で走ってみたくなった。
だが、多少の不安もある。
いわゆる怖いもの見たさだ。

 俺は今度は全力疾走を試みた。

たたたたたたたたたたたたたた……!

 およそ人間の足音とは思えない、手を叩くよりも短い感覚で俺は走った。
一足飛びで4、5メートルは進んでいる。
それがこの早い足音の間隔で繰り返される度に、周りの景色は見たこともない早さで後ろへ過ぎ去っていった。

 馬より早い感覚を味わったのは初めてだった。
あまりの驚きと楽しさに俺はまたしても子供のように走った。
この馬鹿げた速度なら一時間か二時間くらいでドアンに着くかもしれない。

 そして実際にたどり着いた。
まったく馬鹿馬鹿しい程に呆れる早さだ。
しかも全く疲れていない。
一体どういう強化術なのか。
今なら中級モンスターにも一人で挑めそうだ。

 俺は興奮気味の自分を意識的に落ち着かせて、早速ドアンの斡旋所に向かった。
人の多さや町の活気など、さっきまでいたトカナとは比べ物にならない。

 露店の商品を眺めながら歩く。

 そして俺はドアンの斡旋所の前にたどり着いた。
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