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第二章

テリトリーと電撃をくらう

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 エルとラクドサスは睨み合っていた。

 ”ラクドサス……私以外のことを話すのじゃ”
(どういう事ですか?)
 ”不覚にもエルのオーパーツに私の存在を知られてしまい……根掘り葉掘り聞かれてのう”

 それを聞きラクドサスは、どういう事だと思い首を傾げる。

(なぜセイントチェーンが。まさか、エルのオーパーツの方が格上なのか)
 ”うむ、格上じゃが……悪魔のオーパーツじゃ”
(なるほど……それでエルのオーパーツとは、なんなのですか?)

 そう言いラクドサスは、エルを見据えた。

 ”それは言えぬ。その代わり向こうも私のことは、エルに言わぬそうじゃ”
(本当でしょうか? 悪魔のオーパーツのいう事を信じても……)
 ”嘘が嫌いなオーパーツ故に嘘はないと思うがのう”

 それを聞きラクドサスは、更に訳が分からなくなる。

(嘘が嫌いな悪魔のオーパーツって……あり得るのか?)
 ”あるのじゃ……嘘が嫌いなオーパーツ故に、今まで人を嫌っておったがな”
(それをエルが手に入れた。という事は、初めての所持者)

 ラクドサスは驚きエルを凝視した。

 ”そうなるのう……”
(だが……どうして俺の素性を全て話す必要があるのですか? それにここには結界と共にテリトリーの能力を……)
 ”それは既に無効になっておる。いや、ここに来た時からエルのオーパーツのテリトリーに入っておったのじゃよ”

 そう言われラクドサスは、辺りの気配を探る。

(クッ……やられた! エルは既にここに……)
 ”そのようじゃ。流石は、あのオーパーツを所持することができし者よ”
(では話さねば、どうなるか分からないという訳か)

 ラクドサスは悔しそうな顔でエルをみた。

 ”じゃが……エルにも、事情を話させるとのことじゃ”
(……それが本当かは分からないが、話さないとまずいだろうな)

 そう言いラクドサスは、天井を見上げる。

 ∞✦∞✦∞✦∞

 その頃、エルもグリモエステルスと話をしていた。

 そして時は少し遡る……――

 エルとシルフィアはグリモエステルスの話を聞いていた。

(話はついたのか?)
 ”ああ、なんとか説得しておいたよ。だが、条件をつけて来たけどな”
(条件? いったいなんだろう……)

 そう言いエルは思考を巡らせる。

 ”エル、全て話すってことだよ”
(ふ~ん……じゃあ、グリモエステルスのことも話していいんだな)

 それを聞きグリモエステルスは、エルに目掛け雷撃を浴びせた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ……」

 そう叫びエルは、バタッと床に倒れる。因みに炭を全身に被ったようになっていた。……まあ自業自得なのだが。
 それをみたラクドサスは、何をやっているんだと思い首を傾げた。
 片やキキョウは「あらあら」と言い心配そうにエルをみつめる。
 シルフィアは事情を知ってたため、ジト目でエルをみていた。
 その後シルフィアは、呆れながらもエルの回復をする。

「ごめん……シルフィア」
「もう、自業自得だからね」

 そう言われエルは苦笑した。

「何があった?」
「ラクドサス……いや、それが……」

 エルはラクドサスから目を逸らす。

「云わないでもいいことを言ったからよ」
「なるほどな……思ったよりも馬鹿なのか?」

 そうラクドサスは言いエルを見下すような目でみる。

「クッ、お前に言われたくない!」
「まあいい……それで、そっちの会話は済んだのか?」
「ああ……そっちもいいのか?」

 そうエルが聞くとラクドサスは頷いた。

「じゃあ、話さねばな……」

 そう言いラクドサスは、遠くをみつめる。
 そしてその後、ラクドサスは重い口を開き話し出したのだった。
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