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第二章

姿をみせると逆恨み

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 エルは大剣を構えながらキョウゼルとの間合いをとっている。

「一つ聞きたいことがある。お前たちが母さんや村のみんなを殺して、火を点けたのか?」
「そうだとしたら、どうする? いや、そう思ったから俺たちを誘っていたんじゃないのかよ」
「そうだな……そうかもしれない。俺は確証が欲しかった……お前たちに復讐するためのな!!」

 そう言い放つとエルは、凍てつくような鋭い眼光でキョウゼルを睨んだ。
 一瞬キョウゼルは、身震いし動けなくなる。

「……ほう、威嚇してくるとはな。おもしれえ……」

 キョウゼルはダガーを構え直すと、低い体勢でエルの下へ駆けだした。
 それをみたエルは大剣を横に持ち直すと、キョウゼルを待ち構える。

「チッ、随分と余裕じゃねえか! だが、隙だらけだぜ」

 そう言いキョウゼルは、ダガーを持ち直しエルを横から斬りつけようとした。
 その動きをみていたエルは、大剣を横に構えたままキョウゼルよりも体勢を低くした。と同時に、キョウゼルへ目掛け素早く大剣を振りきる。

 ――カーン……――

 だがエルの攻撃は、突如現れた透明な壁に阻まれた。

「クソッ……バリアって……」

 エルは警戒しキョウゼルから遠ざかる。そして辺りを見回した。

「フゥー……寸でのところで危なかったぜ」

 そう言いキョウゼルは、エルをみた。

「キョウゼル、何をやっている。小僧一人に、苦戦しているようだが」

 そう言いセルギガは、三人の仲間を引きつれ現れる。そしてキョウゼルを、見下すような目でみた。

「すまねぇ……だが、思ったよりも……」

 そう言いかけた直後、セルギガはキョウゼルの腹を蹴り上げる。

「言い訳はいいんだよ! 成果さえあげればな」

 それを聞いていたエルは、獣のような鋭い眼光で睨みつけた。

「おい! 仲間じゃないのか?」
「フンッ、ああ……仲間だ。だが、無能な仲間は必要ないんでな」
「そんなヤツに母さんや村のみんなが……」

 そう言うとエルは、大剣を構え直しセルギガへと向かい駆けだす。

「動きが単調だな。それに性格も、クソくらいに真っ直ぐすぎる。これじゃ……俺が嫌いなエルムスじゃないか」

 セルギガはそう言い仲間の後ろについた。
 それをみたエルは、ムッとする。

「逃げるなぁー!!」

 そう言いエルは立ちどまりセルギガを睨んだ。

「逃げる? フンッ、馬鹿をいうな。盾を用意しておくのが普通だろう……まあ、お前の父親じゃそんなことは教えんか」
「さっきから、父さんの悪口を散々言ってるがな……お前のような卑怯なことはしない」
「だろうな……だが、エルムスも卑劣なことをしてるぞ……俺からマルセを奪った。それも……俺のしてることを暴露してな!」

 それを聞きエルは、ジト目でセルギガをみる。

「それって……どうみても、逆恨みだろ? 自分がしたことを暴露されたって云うなら、父さんはお前から母さんを護ったって言った方が正しいよな」
「クッ……お前は口から生まれて来たようなヤツだな。……誰に似ているのか分からんが、その口を封じるだけだ!」

 そう言いセルギガは、目の前に居る者三人に「やれ」と指示した。

「フンッ、悪い……似ているとすれば……両親にだろうな!」

 そう言いながらエルは、軽く首を横に曲げると大剣を持ち直し身構える。
 そしてエルは、向かいくる三人の動きを見据えた。
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