16 / 101
第一章
エルの両親を知る者
しおりを挟む
「エルが、エルムスさんの……。それで、エルムスさんとマルセさんは元気?」
そう聞かれエルは暗い顔になり下を向く。
「……父さんは、八年前に死んだ。それと母さんは……」
「そうだったんだね。エルムスさんは既に、もしかしてマルセさんも?」
「母さんは……半年前、誰かに殺された。村のみんなも……」
エルはその時のことを思い出し、憎しみの表情へ豹変していた。
「エル……そうかぁ……。それで、犯人は?」
「よくは分からない。だけど……」
その時のことをエルは、シルフィアに詳しく話す。
「数名の冒険者、かぁ。なんとなく覚えているのが、顔に大きな傷のある男。……それだけじゃみつけようがないよね。会えば分かるの?」
「どうだろう……自信はないけど、分かると思う」
「そうかぁ。みつかるといいね。その時は、私にも声かけて。何か手伝えることがあるかもだし」
そう言われエルは頷く。その表情は、いつのまにか穏やかになっていた。
「そういえばシルフィアは、なんで父さんと母さんのことを知ってるんだ?」
「あー、そのことね。えっと……あとで、ここじゃない所で話すわ」
「それって他のヤツに、聞かれちゃまずいってことか?」
そう問われシルフィアは頷く。その後、キョロキョロ周囲を見渡した。
「うん、そうなるわね。断言はできないけど……エルの村が襲われた理由、それにアイツらの仕業かもしれないから。だからそれについては、あとで詳しく話すわ」
「分かりました。気になるけど、そうする」
それを聞きシルフィアは、ニコッと笑う。
シルフィアの笑顔をみてエルは顔を赤らめる。
「それにしても、ログスとララファ……遅いわね」
「そういえば、どうしたんだろう?」
そう言いエルは、辺りを見回した。
「確かに変ねぇ。家に行ってみる?」
「んーここを離れて、行き違いになってもなぁ」
「恐らく二人と、行き違いにはならないと思うわ」
エルは不思議に思う。なぜそう思うのかと。
「なんで分かるんだ? 他にも道はあるし、家からコッチにくるとは限らない」
「そうだね。だけど、あの二人は特定の道しか通らないのよ」
「どういう事だ?」
そう聞かれシルフィアは、その理由を話し始める。
「あの二人ね。前にいたパーティーのメンバーの一人から、酷い扱いされてて。ソイツが通りそうな道は避けるのよ」
「なるほどな。でも、なんでそんなこと知ってるんだ?」
「私もそのパーティーに居たから……」
そう言いシルフィアは俯いた。
「そうか……そのためか。シルフィアが二人の依頼を受けるって聞いて、なんで喜んだのかと思ったけど」
「そういう事! それでどうする、迎えに行く?」
「このまま、ここで待つよりも……その方がいいか。それにさっきの話を聞いて、心配になったしな」
そう言うとエルは二人の家がある方を向き歩き出す。
それをみたシルフィアは、エルのあとを追う。
そして二人は話しながら、ログスとララファの家へと向かったのだった。
そう聞かれエルは暗い顔になり下を向く。
「……父さんは、八年前に死んだ。それと母さんは……」
「そうだったんだね。エルムスさんは既に、もしかしてマルセさんも?」
「母さんは……半年前、誰かに殺された。村のみんなも……」
エルはその時のことを思い出し、憎しみの表情へ豹変していた。
「エル……そうかぁ……。それで、犯人は?」
「よくは分からない。だけど……」
その時のことをエルは、シルフィアに詳しく話す。
「数名の冒険者、かぁ。なんとなく覚えているのが、顔に大きな傷のある男。……それだけじゃみつけようがないよね。会えば分かるの?」
「どうだろう……自信はないけど、分かると思う」
「そうかぁ。みつかるといいね。その時は、私にも声かけて。何か手伝えることがあるかもだし」
そう言われエルは頷く。その表情は、いつのまにか穏やかになっていた。
「そういえばシルフィアは、なんで父さんと母さんのことを知ってるんだ?」
「あー、そのことね。えっと……あとで、ここじゃない所で話すわ」
「それって他のヤツに、聞かれちゃまずいってことか?」
そう問われシルフィアは頷く。その後、キョロキョロ周囲を見渡した。
「うん、そうなるわね。断言はできないけど……エルの村が襲われた理由、それにアイツらの仕業かもしれないから。だからそれについては、あとで詳しく話すわ」
「分かりました。気になるけど、そうする」
それを聞きシルフィアは、ニコッと笑う。
シルフィアの笑顔をみてエルは顔を赤らめる。
「それにしても、ログスとララファ……遅いわね」
「そういえば、どうしたんだろう?」
そう言いエルは、辺りを見回した。
「確かに変ねぇ。家に行ってみる?」
「んーここを離れて、行き違いになってもなぁ」
「恐らく二人と、行き違いにはならないと思うわ」
エルは不思議に思う。なぜそう思うのかと。
「なんで分かるんだ? 他にも道はあるし、家からコッチにくるとは限らない」
「そうだね。だけど、あの二人は特定の道しか通らないのよ」
「どういう事だ?」
そう聞かれシルフィアは、その理由を話し始める。
「あの二人ね。前にいたパーティーのメンバーの一人から、酷い扱いされてて。ソイツが通りそうな道は避けるのよ」
「なるほどな。でも、なんでそんなこと知ってるんだ?」
「私もそのパーティーに居たから……」
そう言いシルフィアは俯いた。
「そうか……そのためか。シルフィアが二人の依頼を受けるって聞いて、なんで喜んだのかと思ったけど」
「そういう事! それでどうする、迎えに行く?」
「このまま、ここで待つよりも……その方がいいか。それにさっきの話を聞いて、心配になったしな」
そう言うとエルは二人の家がある方を向き歩き出す。
それをみたシルフィアは、エルのあとを追う。
そして二人は話しながら、ログスとララファの家へと向かったのだった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
復讐の政略結婚に愛を込めて
水城ひさぎ
恋愛
七海フィナンシャルグループ社長の娘、七海紗由理にある日、結婚話が舞い込む。
お相手は、大企業を傘下に持つ久遠ホールディングス株式会社の御曹司、久遠綾斗。くしくも、紗由理の大学の恋人、小早川綾斗と同じ名前だった。
小早川綾斗を忘れられないでいる紗由理は、気が乗らないまま久遠綾斗とのデートに出かけて行くが、そこへ現れたのは、小早川綾斗で……。
冷たい舌
菱沼あゆ
キャラ文芸
青龍神社の娘、透子は、生まれ落ちたその瞬間から、『龍神の巫女』と定められた娘。
だが、龍神など信じない母、潤子の陰謀で見合いをする羽目になる。
潤子が、働きもせず、愛車のランボルギーニ カウンタックを乗り回す娘に不安を覚えていたからだ。
その見合いを、透子の幼なじみの龍造寺の双子、和尚と忠尚が妨害しようとするが。
透子には見合いよりも気にかかっていることがあった。
それは、何処までも自分を追いかけてくる、あの紅い月――。
妖狐は人の子に恋をするー改訂版ー
凪 冬夜
ファンタジー
暇を持て余した妖狐の住まう社に、ある日赤子が捨てられた。人の子は弱くて脆い、この赤子も明日になれば死んでしまう。妖狐は気まぐれに赤子を育てる事にした。
※挿し絵あります。
ご注意下さい。
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
旦那様、最後に一言よろしいでしょうか?
甘糖むい
恋愛
白い結婚をしてから3年目。
夫ライドとメイドのロゼールに召使いのような扱いを受けていたエラリアは、ロゼールが妊娠した事を知らされ離婚を決意する。
「死んでくれ」
夫にそう言われるまでは。
⠀[完]【R18 】婚約破棄された後は、何故かもう1人の幼なじみに恋人の手ほどきをされてます
とも
恋愛
私、ルミナ・オルファ、17歳。子爵の娘として産まれた。
私には2人の幼なじみがいる。
グロッサム・アーヴ、伯爵家の次男だ。
もう1人は、アトラス・カーヴァン。公爵の嫡男だ。
私はグロッサムが好きだった。だから、婚約したのに、か彼は浮気した。
相手は私の事をとても嫌っている、アムル。プリライ伯爵家の娘だ。
2人の現場を見た私に、グロッサムは冷たく婚約解消を言い放った。
悲しみにくれる中、もう1人の幼なじみのアトラスが、お互い好きな人ができるまで恋人になろう、という提案に私は承諾した。
本当の恋人ができた時、今度こそ逃げられないように、恋人としての練習をする事になったのに、
待って、アトラス!
そんなそんな口付けされたら・・・私・・・
毎日朝6時と18時2回の更新です。
完結まで予約済みです(*^^*)
平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?
和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」
腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。
マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。
婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる