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第三章

ep.75 髪飾りと依頼書

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 ここはカンロギの町の商店街。
 先程、倉庫街であったことを知ってか知らずか人々が街路を行き交っている。
 この商店街の装飾品店にルミカとセリアーナとマルルゼノファとシャルルカーナがいた。
 四人は話をしながら商品をみている。

「この町にはみたことのないような装飾品が揃っているのね」
「セリアーナ、そうですね。この町は隣国マールエメスの境にあるから結構、珍しい物なんかもあるらしいわ」
「そうなんですね。ルミカさんは、なぜそんなこと知っているんですか?」

 そうマルルゼノファが問うとルミカはその訳を話し出した。

「向かう町のことを事前に調べておいたのです……それだけですよ」
「なるほど……確かに何も知らないで闇雲に歩いても時間の無駄だ。これは……任務でも云えることですね」
「マルル……そういう事よ」

 ルミカはそう言い髪飾りを手にする。

(師匠に似合いそうな髪飾りだわ。このオレンジ色のワンポイントの宝石なんか……。ハァー……それにしても相変わらず自由な人ですよね。
 私たちが心配してることなんて……いいえ、その前に自分がどんな立場の人間なのかも理解していない。
 それだけじゃないです。私たちを、もっと信用してくれてもいいのですけど……難しいですね)

 そう思考を巡らせていた。

(この髪飾り、あとでプレゼントしましょう。受け取ってくれるか分かりませんが)

 そう思いながらルミカは他の装飾品もみる。
 そして、その後も四人は色々とみていた。


 ――場所はベバルギの町にある冒険者ギルドに移る――

「お待たせしました」

 そう言いヒナギクはカウンターの上に依頼書を数枚並べた。

「この中から選ぶか掲示板から選んでね」

 そう言われハルキュアは依頼書の一枚を取る。
 カデリウスとピュアルも一枚ずつ持った。

「薬草の採取か」
「こっちは鉱石の採取ですね」
「ボクノ……ホウハ、マホウノ……エダノ……サイシュ」

 そう言いながらお互いに見せ合い比べる。

「どれを、やってもいいのか?」
「ええ、ランクに合った依頼なら大丈夫よ」
「そうなると……この依頼書じゃなくてもいいんですよね?」

 そうカデリウスが問うとヒナギクは頷いた。

「さっきも言ったけど……掲示板から持って来てもいいわよ」

 そう言われハルキュアとカデリウスとピュアルは持っていた依頼書を、カウンターの上に置いて掲示板の方へ向かう。

 ★☆★☆★☆

 掲示板の前までくるとハルキュアとカデリウスとピュアルは自分にできそうな依頼を探す。

「結構ありますね……」
「そうだな……だが戦闘関連はDランクより上にしかない」
「ウン……ボクハ……ドレデモ……イイヨ」

 それを聞きハルキュアとカデリウスは頷いた。

「似たような依頼ばかりか……だがランクを上げるには退屈な仕事でも熟さないとな」
「そうですね……とにかくランクを、ある程度上げておかないと」
「ああ……別のギルドで仕事をするにも大きな依頼を受けられない」

 そうハルキュアが言うとカデリウスは呆れた顔になる。

「ハルキュア、大きな依頼もそうですが……分かってますよね?」
「そ、そうだな……城にだろ?」
「そうですよ。覚えているならいいですけど遊ばないでくださいね。恐らく長期戦になると思いますので」

 そう言われハルキュアは頷いた。
 そして三人は、その後も依頼書をみていたのだった。
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