上 下
213 / 231
★番外・過去編☆

厄災の箱

しおりを挟む
 ここは美咲と司の寝室。二人はベッドに寝ている。……その先は、ご想像にお任せします。

 泪は少し離れた低い棚の上にいた。

(流石に、二人の傍にいるのは……)

 そう思い泪は、顔を赤らめる。

(……だけど、驚いたなぁ。偶然なんだろうけど、二人の子供が産まれてたら私と同じ名前だったなんて。
 だけど、なんか変な気持ち。美咲さんのそばに居ると、懐かしいような……安心できるんだよね。なんでだろう?)

 そう思考を巡らせた。だが分からず、ちょこんと首を傾げる。

(んー、分からないし……いいや。それよりも、明日はどうなっちゃうの? 帝都から誰かくるって言ってたし。二人は、なんとかやり過ごそうとしているけど。
 ……考えていても仕方ない、か。それにしても、なんのために私はここにいるのかな。能力は、使えないしさぁ)

 泪はそう考えたあと飛び立ち窓の方へと向かった。

 窓の外が覗ける台の上にとまる。すると泪は、外の様子をみた。

(暗いね……当たり前か。でも、鳥の目って夜はみえないんじゃなかった? 凄く、良くみえるんだけど……)

 そう考えながら外を眺めている。


 ――いやいや、鳥の目が夜みえないってことはないみたいです。鶏は、夜間みえないらしいですが……――


(外は静かだなぁ……夜だから余計か。それにしても、暇……眠れないし。どうしよう……ここで寝たフリしてようかな)

 そう思い泪は目を閉じた。


 ★☆★☆★☆


 ……――翌日。美咲は泪を左肩に乗せると裏庭に向かう。

 片や司は、自分の部屋の椅子に座り机上に手を乗せて何かを考えている。

(……この世界に来て、いいことがない。唯一あったのは、美咲と結ばれたことぐらいだ。それ以外は、いいように利用されてきた。もう、ごめんだ!
 元の世界に帰れないなら……いっそのこと、この世界を消滅させてやる)

 そう思い、一つの箱を机上に置いた。

(この箱をいくつも創って、ここに厄災を詰め込む。箱の色によって、厄災の種類を変える。それを、全世界にばらまく。無作為にな……。
 だがそれをするには……時間が必要だ。一つや二つじゃ足りない……沢山創らないと)

 そんなことを考えている。……これ誰かがとめないとって、そういう事です。このおかげで何ヶ所もの国が滅んだのだ。

(……それに、箱には厄災のことを書いておく。開けるヤツがいるかどうか……いれば、国を滅ぼしたいと思ってだろうな。
 どんな使われ方を、しても構わない。とにかくこの世界を消滅させる)

 司はそう思いながら、箱を創っていく。……計十五箱が床に置かれている。

 それを司は、色分けで並べていった。

(とりあえず、箱は創った。あとは、箱ごとに厄災を詰めて飛ばす。それをいつやるかだな。それと、この噂を流す必要がある……)

 そう思考を巡らせながら司は、後ろの窓に座ったまま体を向ける。そして、窓の外を覗いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。 その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。 落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

え?私、悪役令嬢だったんですか?まったく知りませんでした。

ゆずこしょう
恋愛
貴族院を歩いていると最近、遠くからひそひそ話す声が聞こえる。 ーーー「あの方が、まさか教科書を隠すなんて...」 ーーー「あの方が、ドロシー様のドレスを切り裂いたそうよ。」 ーーー「あの方が、足を引っかけたんですって。」 聞こえてくる声は今日もあの方のお話。 「あの方は今日も暇なのねぇ」そう思いながら今日も勉学、執務をこなすパトリシア・ジェード(16) 自分が噂のネタになっているなんてことは全く気付かず今日もいつも通りの生活をおくる。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

処理中です...