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第二章

商談と談話

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 ここはカロムの屋敷の客間。ここにはカロムと灰色のローブの男がいて、互いに向き合い話をしていた。

 あれからカロムは屋敷に戻るなり、この客間へ急ぎ足でくる。


 そして二人は現在、テーブルの上に無造作に置かれた書類の数枚を持ち話をしていた。

「思っていたよりも、高額で売れたようですね」

「ああ、他の種族も居たからな。それで、今回はどうだ?」

「それが、まだ二人だけです」

 そう言いカロムは、難しい顔で灰色のローブの男をみる。

「今のやり方では効率が悪い。以前のようにはできんのか?」

「無理です。他の協力者が居なければなりませんので」

「そうだな……仕方ないか。それで、その二人の書類をみせろ!」

 そう言われカロムは持って来た書類を二枚、灰色のローブの男に渡した。

 灰色のローブの男は、その二枚の書類を受け取ると隅々までみる。

「どうですか?」

「これだけでは分からんが……どんな容姿だ?」

 そう問われカロムは泪とメーメルのイメージを伝えた。

「ほう、そうか。それなら、高額で売れるかもしれんな」

「じゃあ、商談は成立という事でいいのですね」

 そう言われて灰色のローブの男は、コクッと頷く。

 その後、灰色のローブの男はバッグから書類を取りだしテーブルに置く。そして、その書類に記載する。

「いつも通り、この誓約書にサインをしてくれ」

「ええ、分かりました」

 カロムは書類に目を通すとサインをする。

「さて、いつぐらいになる?」

「明日以降になると思います。ですので今日は、この屋敷でゆっくりお休みください」

「そうか……なら、そうさせてもらう」

 そう言うと灰色のローブの男は、ニヤリと笑みを浮かべた。

 その後カロムはマリリサを呼び、灰色のローブの男を専用の部屋に案内させる。

 灰色のローブの男が行ったことを確認すると、カロムは自分の部屋に向かった。



 ――場所は、泪とメーメルの部屋へと移る――


 私はメーメルと話をしていた。

「ルイ、そういえばトラットはどうする?」

「そういえば、そうだね。多分一緒には無理だと思う」

 そう思い私は、抱っこしているトラットをみる。

「……そうだな。その時は、グレイ達の元に行く」

 小声でトラットは、ボソッとそう呟いた。

「それがいいだろう。そうだな、行くならば状況を伝えて欲しい」

「分かった。その前に、オイラが捕まらないようにしないとな」

「そうだね。トラットは、少し離れた場所に居た方がいいかも」

 そう私が言うとトラットは、コクリと頷く。

「それはいいが、グレイ達の居る場所は分かるのか?」

「メーメル、ニオイを辿るつもりだ。それにオイラは、どんな隙間でも通り抜けられるからな」

「心配だけど……それなら大丈夫かなぁ」

 そう言いながら私はトラットをみる。

 トラットは頷いたあと、また体を丸め私の膝の上で眠りについた。

「あとは……何も気づいていないフリをするだけだな」

「うん、そうだね。演技できるか分からないけど」

「演技する必要はないと思うが……ただ、悟られたら面倒だ」

 そうメーメルに言われ私は、急に緊張してくる。

「硬くなるな……いつも通りでいい」

 そう言いメーメルは、ニコリと笑った。

 それをみた私は、深呼吸をする。

 そして私とメーメルはその後、他愛のない話をしていたのだった。
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