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第六章

最終決戦、異界の怪物との闘い・そして……。……7

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 涙を拭い泪は、剣を構え目の前の紫の怪物の方に向かい走る。

 紫の怪物の背中に緑の点が現れた。

 なぜか泪の脳裏に言葉が浮かんだ。それを咄嗟に言葉にする。

 《見極めレベル8!!》

「特定の対象物は、目の前の巨大な紫色の怪物!!」

 そう叫ぶと剣を握ってる手が発光し魔法陣が展開された。その魔法陣から光が放たれ剣を覆い包む。

 それと同時に剣先からビームのようなものが、紫の怪物の背中に記された緑の点へと向かう。

 だが、情報は入ってこない。

 しかし泪の体は、紫の怪物に引き寄せられるように向かっていく。

(情報が入ってこないのになんで……だけど、これも能力なら……やれるの? もしかして、プレートに書き込まれてるかもしれない。でも、みてる余裕はないし……このままいくしかないよね)

 そう思い泪は、自分の能力を信じ紫の怪物の方へと向かう。


 グレイフェズは虚ろな目でその様子をみる。

「ルイ……む、りだ……ひき……かえせ……」

 そう言うものの泪には聞こえない。

「ハァハァ……ルイ、さん。む……ちゃです……」

 それをみたムドルは立ち上がろうとした。

「ツウ……クッ……」

 激痛が走る。痛さのあまり立てなかった。

「やめ……ハァハァ……るの、じゃ……」

 そう言いメーメルは、這いながら泪の方に行こうとする。だが、思うように体が動かない。

「やっと……か。だが……今更……無理、だ……」

 ベルべスクはそう言い虚ろな目で泪をみていた。


 ――そんなグレイフェズ達の声など泪に聞こえる訳もなく……。


 紫の怪物のそばまでくると泪は、緑の点へと吸い寄せられる。

(何これ? 浮いてる。だけど……能力が発動してるのは確かだよね)

 そう思いながら自分が宙に浮いてる現実を忘れようとした。そう怖いためである。

 紫の怪物の背中の辺りまでくると泪は、鞘から抜いた剣を構え直した。と同時に剣を右に振り、スパッと紫の怪物の背中を斬りつけた。


 ――グオオオォォォォオオオオオーー……――


 いきなり泪に背中を斬りつけられ紫の怪物はそう鳴き叫ぶ。だが傷は、すぐに消えてしまった。

「ダレ……ダ」

 そう言いながら紫の怪物は、泪を探す。

 泪は地面に着地し紫の怪物を見据える。

「わ、私は……ルイ・メイノ。この先には、絶対に行かせない!!」

 そう言うと泪は、剣を構え紫の怪物に剣先を向けた。

 その声を聞き紫の怪物は、泪を見下ろす。

「オマエハ……クジョ……タイショウ……ガイ……ジャマ……スル、ナ」

「それは、どういう事?」

「ユウシャ……ト……カンケイ……スル……モノ……ニ、コノ……セカイ……イガイ……ノ……モノ……ハ……クジョ……スル……ナ……ト……キオク……サレ……テイル」

 それを聞き泪は不思議に思った。

「……って、まさか厄災は勇者が創ったの?」

「ソウ……ダ。ワレ……ハ、ユウシャ……ニ……ツクラレシ……ソンザイ……」

「どういう事か、分からない。なんで……勇者が厄災なんか創ったの?」

 そう言うと泪は、紫の怪物を見上げ睨んだ。

「シラン……ワレハ……ソコマデ……キオク……サレテ……ナイ」

「そうなんだね。じゃあ、このまま破壊を続けるの?」

「ソウ……イウ……コト、ダ。ダカラ……ジャマ……スル、ナ」

 紫の怪物はそう言うと泪に背を向け城の方へと歩き出した。

「待って、行かせない!!」

 泪はそう言い剣を構え直すと紫の怪物を見据える。

 それを聞くも紫の怪物は、無視し歩き進む。

 泪はそれをみて話しても無理と判断する。

(なんとか、止めないと……)

 そして攻撃しないと駄目だと思い、泪は紫の怪物を睨みみた。
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