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第五章

見え隠れする本心

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 ここは市場街の空き屋。あれから私はグレイとメーメルと、拘束したリーダー風の男を連れここに転移してきた。勿論、メーメルの魔法でだ。

 グレイは封印を解かないと転移の魔法が使えない。そのためメーメルの魔法を使ったのだ。

 ここに転移してからメーメルは人間の姿になる。


 それとムドルさんは、拘束したトゼルっていう人を連れてコルザの屋敷に転移した。

 魔族の姿で直接、向かって大丈夫なのかなと思う。だけどグレイが、考えがあるんだろうと言った。それを聞き私は、そうだと思い納得する。

 だけどその時、メーメルは不安な表情を浮かべていた。


 そして今、私たちは今後のことについて話し合っている。

「デビルミストのことは、ドルバドスさん以外に言うな。あの人は知っている。だが、他の連中は知らないはずだ」

「うん、分かった。それで、このあとどうするの?」

「そうだな……とりあえず、ギルドに戻ってドルバドスさんと相談してから判断しようと思う」

 それを聞いたメーメルは、難しい表情を浮かべた。

「うーむ……。それが良い、と言いたいのじゃが。そんな、ゆっくりもして居られぬのではないのか?」

「そうかもしれない。だが、なんの策……情報もなく動く方が危険だ」

「そうなのじゃが……」

 メーメルは更に表情を曇らせる。

「メーメル、何か気になることがあるの? それとも、ムドルさんが心配なのかな」

「それはない。ムドルは大丈夫じゃ。心配なのは、厄災がデビルミストだけじゃないという事……」

「確かに……厄災は、他にもある。だが……ああ、クソッ!! 俺は……」

 そう言いながらグレイは、なぜか私の方を不安な表情でみた。

「ルイが心配みたいじゃな」

「えっ? どういう事……」

 メーメルがなんでそう言ったのか理解できない。私はグレイの方を、チラッとみる。

 俯きグレイは考えていた。若干、顔が赤いようにみえる。

「そうだな。メーメルの言う通りかもしれない。これ以上ルイを、危険なことに巻き込みたくないと思っている」

 そう言うと真剣な表情でグレイは、私の方に視線を向けた。

「え、えっと……心配してくれるのは嬉しい。だけど、私なら大丈夫。もし足手まといって思ってるなら、ならないように気をつける」

「……足手まといなんて思っていない。俺が言いたいのは……そういう事じゃ……」

 グレイは私から目を逸らし悲しい表情になる。


 どうしてだろう。足手まといじゃないなら、一緒に行動したっていいと思うんだけど。グレイ、何を考えてるか分かんない。
 ……私は傍にいたい、だけ。何ができるって訳じゃないけど……。


 そう思いながら私はグレイをみつめる。

「うむ、妾が居る。もしもの時は、ルイを逃がすことも可能じゃ。一緒に行動しても、問題ないと思うがのう」

「……そう、だな。その時はメーメルじゃなくても……俺が、ルイを守ればいいだけのことだ」

 そう言いながらグレイは、真剣な顔で私をみた。私はそれを聞きグレイにみられ、なぜか鼓動が速くなる。……顔が熱い。

「あ、ありがとう。なるべく邪魔にならないようにするね」

「そうしてくれると助かる」

 グレイは意地悪気味に言う。だけど、つらそうな顔をしていた。気になるけどそれ以上、聞かない方がいいと思いやめる。

 そしてその後も私たちは、どう行動するか話し合っていた。
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