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第四章

重い空気の中

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 私は三人からデビルミストについて簡単に聞いた。

 デビルミストとは、かつてグレイが居た国に現れた厄災の一部。それに憑依された者は、怪物のようになる。

 そして目の前に居る二人は、それが体内に入り込んでいるらしい。


 ……って、こんなことしてる場合じゃ!?


 そう思いながら苦しんでいる二人を順にみた。

 他にも厄災は存在するみたいだけど、それはあとで話してくれるらしい。

「早く、あの二人を助けないと」

「いや、あの二人は……もう助からない」

 グレイは私から目を逸らし下を向き難しい顔をする。

「そんな……じゃあ……」

 そう言われ私は悲しくなった。そう、この二人を始末しないといけないと思ったら涙が出てきたのだ。

「……。やらなきゃならない。誰かがな」

 グレイは一度、私をみたあと背を向けた。


 どうしたんだろう?


 この時、グレイが何を考えていたのか分からない。だが、なぜかグレイの背中から悲しみが伝わってきた。

 もしかしたらグレイも、こんなことをしたくないのではと思う。だけど、誰かがこれをやらないといけないから……。

「……そうだね。誰かが、やらないと犠牲が増えちゃう」

 そう言うと私は涙を手で拭った。

「そうですね。さて、行動に移しますか」

 ムドルさんはそう言いながら、苦しんでる二人の方を向く。

「妾にやれることはなさそうじゃな」

「はい、メーメル様の手を煩わすほどではないかと」

「うむ、任せたのじゃ」

 メーメルとムドルさんの会話を聞いていて凄いと思った。主人とそれに仕える者、そうだとしてもここまで信頼し合えるのかと……。


 恐らく私には無理だ。


 そう思いながらグレイをみる。

 なぜかグレイがこっちを向いた。それと同時に、目が合う。見つめ合った。空気が重い。間が……。

「……待ってくれムドル」

 何を思ったのかグレイは、私をみたままムドルさんを静止させた。

「待て、とは……どういう事ですか? この状況下で」

「試したいことがある。ルイ、お前の能力……何を覚えている?」

 それを聞きムドルさんは振り返り私をみる。

「なるほど……そういう事ですか」

「能力……どうだったかな? プレートみてみるね」

「頼む。その間、俺とムドルはトゼルとあの男を監視している。だが、間に合わない時はやるしかない。だから、なるべく急いでくれ」

 そう言うとグレイは、リーダー風の男の人の方に向かった。

 ムドルさんは、トゼルとかいう人の所に歩み寄る。

 コクリと私は頷いた。

 その後、私は左手首に嵌めている腕輪をみる。その腕輪の紫の魔石に右手を添えた。すると魔法陣が描かれ空間に亀裂が入る。そこからプレートを取り出し異空間を閉じた。

 そして私は、急いでプレートを持ち直しみる。
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