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【序章】勇者の旅立ち
11》♣︎動物たちの救出〜うさリス〜♣︎
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クリオネアは、荷馬車の中からうさリスが入れられている檻を外に運び出すと、周辺を見渡した。
「トウマ。ダイスに気づかれるとまずいから、ここから数キロ先に見える、あの茂みまで行くわよ。それと、うさリスは坊やが運んでねぇ」
そう言われトウマは頷き、クリオネアからうさリスの檻を受け取った。
そして2人は荷馬車から離れ、数キロ先の茂みの方へと歩き出した。
場所は移り、ここはパープリアルの街の南西に位置する、アルベルト・ルディ伯爵家の屋敷。そしてアルベルトは二階の北側付近のバルコニーにいた。
アルベルトは、白いテーブルに寄りかかりながらハーブティーを口に少しふくみ、王都がある方角に視線を向け、
「今トウマはどの辺にいる?まぁあれでも一応、あの宝石に導かれし勇者」
この男がアルベルト・ルディ、40歳ぐらいで見た目は30前半。実年齢を知る者はごくわずかだ。
金色の長めの髪で毛先の方が青紫色のグラデーションカラー。普段から感情を表に出す事はなく……トウマ曰く『何を考えているか分からない奴』との事だ。
ルックスは良くモテるのだが、結婚をする気がない。
いや結婚はしたいのだが、誰にも言っていない特殊な能力を生まれつき持ち、その力により周りの者たちのだいたいの感情が分かってしまう。
その為、自分にいい寄る女性たちが自分ではなく家や資産が目的である事が分かってしまい結婚が出来ない。
アルベルトはパープリアルの領主であり、このルディ家の本家の当主でもある。
本来ならアルベルトはこの家の次男なのだが、25歳の時に両親と兄は王都から戻る道中、運悪く落石事故にあい亡くなった。
その為アルベルトの肉親は、マルス伯爵家に嫁いでいる姉と、まだ家に居座りどこにも嫁ぐ気のない妹だけだ。
そしてこの屋敷には数名の使用人が住み込みで働いている。
「だがあの時は流石に驚いた。まさか私が召喚した者が女。それもまだ子供だった」
そう言いながら右手の甲を見ながら、その時の事を思い出していた。
場所は戻り、トウマとクリオネアは数キロ離れた茂みの中にいた。
そしてトウマはうさリスの檻を自分の目の前に置いた。
「うさリスは檻から出さずに起こすわね」
「あ、うん。だけど……何で檻から出さない方がいいんだ?」
「トウマ。まぁそのわけは見ていれば分かるわ」
そう言われトウマは半分、納得がいかなかったがゆっくりと頷いた。
クリオネアはそれを確認すると、両手をパンっと叩きうさリスを起こした。
するとうさリスは目を覚まし辺りをキョロキョロと見渡した後クリオネアを見た。
「……ここはどこ?クリオネア。アイツらいないみたいだけど」
「ウザピリウスごめん、失敗しちゃった」
「ひっぱいひた!?って……ああ、うちの苦労がみぶの泡に~……」
そう言うとウザピリウスは落ち込んだ。
「でも何でひっぱいひたの?」
その話をトウマは黙って聞いていた。いや、ウザピリウスとクリオネアの会話がのみ込めず困惑していたのだ。
(えっと……この状況がいまいち分からないんだけど。
それにうさリスの名前がウザピリウスで、あの話し方って、何かイメージとかなりかけ離れすぎなんだけど)
「失敗したわけは、この坊や……トウマがたまたま荷馬車を見つけ動物たちを助ける為、ダイスとビスを倒し眠らせてくれたおかげでね」
そう言われトウマは苦笑した。
「ほうなのでふね。トウマってうちのうひろにいる人の事でふか?」
ウザピリウスがそう聞くとクリオネアは頷いた。
そしてウザピリウスはさっと半回転しトウマの方を向いた。
(やっぱり見た目、すごく可愛い!だけど……ん~)
「……なるほど。あなたがトウマねぇ」
そう言うとウザピリウスは、トウマを見るなり睨みつけ、怒鳴り散らしながら檻の中で暴れ出した。
(かなり怒ってるみたいけど。これってオレが悪いのか?)
「トウマ。ダイスに気づかれるとまずいから、ここから数キロ先に見える、あの茂みまで行くわよ。それと、うさリスは坊やが運んでねぇ」
そう言われトウマは頷き、クリオネアからうさリスの檻を受け取った。
そして2人は荷馬車から離れ、数キロ先の茂みの方へと歩き出した。
場所は移り、ここはパープリアルの街の南西に位置する、アルベルト・ルディ伯爵家の屋敷。そしてアルベルトは二階の北側付近のバルコニーにいた。
アルベルトは、白いテーブルに寄りかかりながらハーブティーを口に少しふくみ、王都がある方角に視線を向け、
「今トウマはどの辺にいる?まぁあれでも一応、あの宝石に導かれし勇者」
この男がアルベルト・ルディ、40歳ぐらいで見た目は30前半。実年齢を知る者はごくわずかだ。
金色の長めの髪で毛先の方が青紫色のグラデーションカラー。普段から感情を表に出す事はなく……トウマ曰く『何を考えているか分からない奴』との事だ。
ルックスは良くモテるのだが、結婚をする気がない。
いや結婚はしたいのだが、誰にも言っていない特殊な能力を生まれつき持ち、その力により周りの者たちのだいたいの感情が分かってしまう。
その為、自分にいい寄る女性たちが自分ではなく家や資産が目的である事が分かってしまい結婚が出来ない。
アルベルトはパープリアルの領主であり、このルディ家の本家の当主でもある。
本来ならアルベルトはこの家の次男なのだが、25歳の時に両親と兄は王都から戻る道中、運悪く落石事故にあい亡くなった。
その為アルベルトの肉親は、マルス伯爵家に嫁いでいる姉と、まだ家に居座りどこにも嫁ぐ気のない妹だけだ。
そしてこの屋敷には数名の使用人が住み込みで働いている。
「だがあの時は流石に驚いた。まさか私が召喚した者が女。それもまだ子供だった」
そう言いながら右手の甲を見ながら、その時の事を思い出していた。
場所は戻り、トウマとクリオネアは数キロ離れた茂みの中にいた。
そしてトウマはうさリスの檻を自分の目の前に置いた。
「うさリスは檻から出さずに起こすわね」
「あ、うん。だけど……何で檻から出さない方がいいんだ?」
「トウマ。まぁそのわけは見ていれば分かるわ」
そう言われトウマは半分、納得がいかなかったがゆっくりと頷いた。
クリオネアはそれを確認すると、両手をパンっと叩きうさリスを起こした。
するとうさリスは目を覚まし辺りをキョロキョロと見渡した後クリオネアを見た。
「……ここはどこ?クリオネア。アイツらいないみたいだけど」
「ウザピリウスごめん、失敗しちゃった」
「ひっぱいひた!?って……ああ、うちの苦労がみぶの泡に~……」
そう言うとウザピリウスは落ち込んだ。
「でも何でひっぱいひたの?」
その話をトウマは黙って聞いていた。いや、ウザピリウスとクリオネアの会話がのみ込めず困惑していたのだ。
(えっと……この状況がいまいち分からないんだけど。
それにうさリスの名前がウザピリウスで、あの話し方って、何かイメージとかなりかけ離れすぎなんだけど)
「失敗したわけは、この坊や……トウマがたまたま荷馬車を見つけ動物たちを助ける為、ダイスとビスを倒し眠らせてくれたおかげでね」
そう言われトウマは苦笑した。
「ほうなのでふね。トウマってうちのうひろにいる人の事でふか?」
ウザピリウスがそう聞くとクリオネアは頷いた。
そしてウザピリウスはさっと半回転しトウマの方を向いた。
(やっぱり見た目、すごく可愛い!だけど……ん~)
「……なるほど。あなたがトウマねぇ」
そう言うとウザピリウスは、トウマを見るなり睨みつけ、怒鳴り散らしながら檻の中で暴れ出した。
(かなり怒ってるみたいけど。これってオレが悪いのか?)
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