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第4話 緒戦突破
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キリっと唇を噛んだ後、シルクはふっと、笑みを漏らした。
「敵に不足はないよ、母上。シェーンもサリも、ことごとく斬り伏せて頂点に立つ、それができてこその『剣聖』……! 運命が、シルクに伝説になれと言っているよ……! どんな奇跡だって起こしてみせる、いざとなれば、父上から授かった奥の手を使ってでも!」
ワッと、歓声が上がる。
第四試合、決着。
シルクは順調に勝ち進み、第二シードの肩書きが伊達ではないことを、観客に見せつけていた。
第一試合、屈強な大男との対戦は、観客の多くが苦戦必至と見守る中、シルクは突っ込んできた相手を軽くかわして、かわされた男が方向を変えようとしたところを狙って転倒させ、首筋に剣を押し当てて決着とした。あっという間の勝負で、もちろんシルクは無傷。
第二試合、相手が異国の剣士で動きが読みづらく、観客を何度かひやりとさせたシルクながら、この試合も、順当に勝ちを収めた。そして、この試合がレベルの高い名勝負だったため、第三試合から急に観客が増えた。もともと、シード枠の女性はシルク一人だったこともあり、注目度は高かったのが、緒戦で満席となる勢いになった。
勢いのままに第三試合、第四試合も突破し、いよいよ、明日に同じ第二シードの剣士、エヴァディザードとの試合を控えた午後のこと。
シルクは当然のごとく、エヴァディザードの緒戦を観戦した。
第一シードのメイヴェルは、まだ試合に姿を見せていない。明日の第五試合からの出だ。
その弟であり、ここに至るまで名を聞くこともなかったエヴァディザード。
第四試合で、雑魚ではないはずの試合の相手を、第一試合のシルク同様、力半分で負かしてしまった。対戦相手の力不足で、実力はおよそ測れなかったけれど、下手をしたら、サリと互角なのではと思われた。
おそらく、こちらがメイヴェルだと言われても、シルクは疑わなかったはずだ。
漆黒の髪と、印象的な黒曜の瞳を持つ砂漠の剣士だった。
**――*――**
正午からシルクの第五試合が組まれた翌日。
午前11時からのメイヴェルの試合の観戦を、シルクは悩んだ末に諦めた。
次の試合から会場が一箇所になるので、この試合だけ諦めれば、無理なく観戦できる。
優勝候補であるメイヴェルの試合を見てみたいという思いは強かったけれど、メイヴェルの試合はまず間違いなく明日もあるはずだ。
一方で、昨日、第四試合を観戦したエヴァディザードが、今日のシルクの対戦相手なのだ。これまでの対戦相手とレベルが違うのは間違いない。
勝てなければ、シルクの試合はこれが最後になってしまうのだから、試合の間際にばたばたして、集中力を欠いた状態で臨みたくはなかった。
勝つにしろ、負けるにしろ、全力を尽くして、悔いの残らない試合にしたい。
**――*――**
「……遅い」
正午からの試合のはずが、控え室に案内されたきり、正午を回っても、呼ばれなかった。
「シルク皇女」
やっと声をかけられたのは、シルクが痺れを切らして、本部に出向こうとした頃だ。
「はい、どうしたの、遅いよ」
扉を開けて、開口一番文句を言ったシルクに、案内係の青年が青ざめて頭を下げた。
「第一会場で暗殺未遂があり、メイヴェル殿が毒を受け意識不明の重体、シルク様対戦相手のエヴァディザード殿が、弟君ということで、現場に急行されています。つまり、エヴァディザード殿の試合放棄ということで、シルク様の不戦勝に――」
「……」
妙な感じがする。ひどく、不自然な。
「待って。エヴァディザードと直接話したい。できない? あっちは、不戦敗納得してるの?」
========
補足
========
ゲームブックだった頃の名残で、ここから、
シェーン、サリ、メイヴェル、最後にエヴァディザードと、シナリオ持ちの人物紹介的なお話が各1話ずつ続きます。
メイヴェル暗殺未遂そのものもレザック編の伏線なので、レザック編に進まないなら、必要ないのですが!( ゜Д゜)9 ← レザック編とか書く気のないカオ
シェーンはエヴァ編に、サリはメイヴェル編に絡んでくることがあるので、一応、カットしないことにしました。
第五試合(シルクvsエヴァ)の決着までにはルートが決まって、その後は、主役に選ばれたキャラを除いてここで紹介した意味はほとんどなくなるのですが、ルートを選択するにあたって、彼らがどんな人かというのは大事なことかもしれないので!( ゜Д゜)9 ← 第五試合の決着とか割とすぐなので、まだ固定ファンがついていなくて作者が勝手にルートを選ぶことになりそうだと思っているカオ
=====================
☆ メイヴェル編:ハイファンタジー(『賢者様の仲人事情』完結編)
☆ エヴァ編:恋愛ファンタジー(『絆』完結編)
☆ シェーン編:ミステリー(『氷の女侯爵』完結編)
☆ レザック編(サリ編):シグルド王室のお家騒動
☆ アースティクス編:冒険物
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「敵に不足はないよ、母上。シェーンもサリも、ことごとく斬り伏せて頂点に立つ、それができてこその『剣聖』……! 運命が、シルクに伝説になれと言っているよ……! どんな奇跡だって起こしてみせる、いざとなれば、父上から授かった奥の手を使ってでも!」
ワッと、歓声が上がる。
第四試合、決着。
シルクは順調に勝ち進み、第二シードの肩書きが伊達ではないことを、観客に見せつけていた。
第一試合、屈強な大男との対戦は、観客の多くが苦戦必至と見守る中、シルクは突っ込んできた相手を軽くかわして、かわされた男が方向を変えようとしたところを狙って転倒させ、首筋に剣を押し当てて決着とした。あっという間の勝負で、もちろんシルクは無傷。
第二試合、相手が異国の剣士で動きが読みづらく、観客を何度かひやりとさせたシルクながら、この試合も、順当に勝ちを収めた。そして、この試合がレベルの高い名勝負だったため、第三試合から急に観客が増えた。もともと、シード枠の女性はシルク一人だったこともあり、注目度は高かったのが、緒戦で満席となる勢いになった。
勢いのままに第三試合、第四試合も突破し、いよいよ、明日に同じ第二シードの剣士、エヴァディザードとの試合を控えた午後のこと。
シルクは当然のごとく、エヴァディザードの緒戦を観戦した。
第一シードのメイヴェルは、まだ試合に姿を見せていない。明日の第五試合からの出だ。
その弟であり、ここに至るまで名を聞くこともなかったエヴァディザード。
第四試合で、雑魚ではないはずの試合の相手を、第一試合のシルク同様、力半分で負かしてしまった。対戦相手の力不足で、実力はおよそ測れなかったけれど、下手をしたら、サリと互角なのではと思われた。
おそらく、こちらがメイヴェルだと言われても、シルクは疑わなかったはずだ。
漆黒の髪と、印象的な黒曜の瞳を持つ砂漠の剣士だった。
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正午からシルクの第五試合が組まれた翌日。
午前11時からのメイヴェルの試合の観戦を、シルクは悩んだ末に諦めた。
次の試合から会場が一箇所になるので、この試合だけ諦めれば、無理なく観戦できる。
優勝候補であるメイヴェルの試合を見てみたいという思いは強かったけれど、メイヴェルの試合はまず間違いなく明日もあるはずだ。
一方で、昨日、第四試合を観戦したエヴァディザードが、今日のシルクの対戦相手なのだ。これまでの対戦相手とレベルが違うのは間違いない。
勝てなければ、シルクの試合はこれが最後になってしまうのだから、試合の間際にばたばたして、集中力を欠いた状態で臨みたくはなかった。
勝つにしろ、負けるにしろ、全力を尽くして、悔いの残らない試合にしたい。
**――*――**
「……遅い」
正午からの試合のはずが、控え室に案内されたきり、正午を回っても、呼ばれなかった。
「シルク皇女」
やっと声をかけられたのは、シルクが痺れを切らして、本部に出向こうとした頃だ。
「はい、どうしたの、遅いよ」
扉を開けて、開口一番文句を言ったシルクに、案内係の青年が青ざめて頭を下げた。
「第一会場で暗殺未遂があり、メイヴェル殿が毒を受け意識不明の重体、シルク様対戦相手のエヴァディザード殿が、弟君ということで、現場に急行されています。つまり、エヴァディザード殿の試合放棄ということで、シルク様の不戦勝に――」
「……」
妙な感じがする。ひどく、不自然な。
「待って。エヴァディザードと直接話したい。できない? あっちは、不戦敗納得してるの?」
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補足
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ゲームブックだった頃の名残で、ここから、
シェーン、サリ、メイヴェル、最後にエヴァディザードと、シナリオ持ちの人物紹介的なお話が各1話ずつ続きます。
メイヴェル暗殺未遂そのものもレザック編の伏線なので、レザック編に進まないなら、必要ないのですが!( ゜Д゜)9 ← レザック編とか書く気のないカオ
シェーンはエヴァ編に、サリはメイヴェル編に絡んでくることがあるので、一応、カットしないことにしました。
第五試合(シルクvsエヴァ)の決着までにはルートが決まって、その後は、主役に選ばれたキャラを除いてここで紹介した意味はほとんどなくなるのですが、ルートを選択するにあたって、彼らがどんな人かというのは大事なことかもしれないので!( ゜Д゜)9 ← 第五試合の決着とか割とすぐなので、まだ固定ファンがついていなくて作者が勝手にルートを選ぶことになりそうだと思っているカオ
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☆ メイヴェル編:ハイファンタジー(『賢者様の仲人事情』完結編)
☆ エヴァ編:恋愛ファンタジー(『絆』完結編)
☆ シェーン編:ミステリー(『氷の女侯爵』完結編)
☆ レザック編(サリ編):シグルド王室のお家騒動
☆ アースティクス編:冒険物
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