にゃこがやってきた

冴條玲

文字の大きさ
上 下
39 / 57
こねこもらって

猫を捨てる人【後編】

しおりを挟む
さて、『僕』が大きくなってしばらくすると、動画の飼い主は新しい子猫を買ってきました。
「昔は可愛かったのに…」
と、飼い主に冷ややかな目で見られた『僕』は、どうしたらまた可愛くなれるんだろうと悩みます。

ないわー。
猫っておばあちゃんになっても可愛いんですよ。
という私の猫愛は脇に置いても、子猫のうちだけ可愛がる人なら、子猫期の短さに愕然としたはずです。
2匹目はもう買ってこないよ。
それよりも、猫の多頭飼いって、先住猫にすごく気を遣わないといけません。
意識的に先住猫を優先しないと、最悪、子猫が喰い殺されてしまいます。
「ひどい! 何の罪もない子猫に嫉妬して喰い殺すなんて!」
またまた爆誕する、『猫を捨てる人』。
ひどいのは多頭飼いの仕方をきちんと調べなかった飼い主なんですが、『馬鹿の山』の山頂にいる飼い主は、自分の無知に気がつきませんからね…。完璧に理解してるつもりですからね…。
喰い殺すのはレアだけど、ストレスで先住猫が病気になったり、先住猫にシャーシャーやられるストレスで子猫が病気になったりは、飼い主がきちんと気を遣えないと、あるある大事典です。
トイレでトイレしなくなる抗議行動もよくある(ていうか、他の猫が使ったトイレなんてばっちくて使えない! という潔癖な猫も珍しくないため、トイレ戦争と呼ばれる)ようです。

それより何より、この、『罪のない猫を捨てるのはやめましょう』といわんばかりの動画のつくりこそが的外れを極めているのです。
これでは、何の啓発にもなりません。
猫とは、罪深くてあたりまえの生き物なのだから!( ゚Д゚)9
『猫がどんなに罪深くとも、愛で包んであげましょう。捨てるなんてとんでもない!』
こうつくらないと、意味がありません。
いたずら大好きな破壊神。
大好きだから邪魔したい。
それが猫なのだから。
何なら、寝ている飼い主の顔めがけてマーキング(おしっこ)しやがるほど、猫とは罪深い生き物なのです!!( ゚Д゚)9

↓寝ているままんの顔めがけてマーキング(おしっこ)したら、超おこられて、しょぼくれ中のぼうや。

~ ぼうやの主張 ~
なんだい ままんがだいすきだから ままんは ぼくのものって
ぶっちばーちゃんばっかり ままんをどくせんして
ぼくが ままんといっしょにねられないから
ままんのまくらもとの りょうゆうけんを しゅちょうしただけなのに
なんでおこるの
ままんはもう ぼくが だいすきじゃなくなったの
ひどい どうぶつぎゃくたいです ままんのばか
~ おしまい ~

まだまだ、ツッコミどころ満載の動画だったのですが、
ここまで読んでくれた皆さんは、自分が猫を飼うのに向いていそうかどうか、
『絶望の谷』に墜落した時、『猫を捨てる人』になってしまわないかどうか、
想像がついたのではないでしょうか。
『猫を捨てる人』というのは、保護団体が考えるような無責任で身勝手な人というわけではないのです。
猫を飼うというのが、どれほど困難なことかを知らなかったばかりに、『絶望の谷』に落ちて、そこから這い上がるすべを見つけ出せなかった人なのです。
家族が猫アレルギーになってしまったり、ペット不可の住宅への転勤が決まってしまったり――
猫を飼うという決断の先には、『絶望の谷』がこれでもかと待ち受けています。

『猫がどんなに罪深くとも、愛で包んであげましょう。捨てるなんてとんでもない!』
大事なのはこの姿勢です。
こう言われて、力強くうなずけるあなたは猫を飼うのに向いています。
猫の罪深さとは、寝ている飼い主の顔めがけてマーキング(おしっこ)しやがることさえあるレベル、この恐るべき真実を聞いても怯まないあなたなら、猫を飼うのに向いています!( ゚Д゚)9
(飼い主がキライでするんじゃないんですよ。ぼうやは急所であるお腹をいくらでもモフモフさせてくれるほど、ままんになついています)

飼えなくなった時には、新しい飼い主を探してくださればいいんです。
絶対にあなたが終生飼育しないといけないなんてことはありません。

皆さんは、猫を飼うのに向いていそうでしたか? 向かなそうでしたか?
よろしければ「私なら猫にここまでされても愛せます!」エピソードや、
逆に「新品の大型テレビ蹴倒されて破壊されたら捨てない自信がありません…」などなど、ご感想お待ちしています!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

幸せを知らない令嬢は、やたらと甘い神様に溺愛される

ちゃっぷ
恋愛
家族から産まれたことも生きていることも全否定され、少しは役に立てと言われて政略結婚する予定だった婚約者すらも妹に奪われた男爵令嬢/アルサイーダ・ムシバ。 さらにお前は産まれてこなかったことにすると、家を追い出される。 行き場を失ってたまに訪れていた教会に来た令嬢は、そこで「産まれてきてごめんなさい」と懺悔する。 すると光り輝く美しい神/イラホンが現れて「何も謝ることはない。俺が君を幸せにするから、俺の妻になってくれ」と言われる。 さらに神は令嬢を強く抱きしめ、病めるときも健やかなるときも永遠に愛することを誓うと、おでこにキス。 突然のことに赤面する令嬢をよそに、やたらと甘い神様の溺愛が始まる――。

「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。 その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。 自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

デスラバー

ユーザー
恋愛
主人公とヒロインの異常な恋を巡る物語

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

処理中です...